細田監督が描く未来予想図…『デジモン』&『竜そば』につながる『サマーウォーズ』の世界へダイブ!
夏休みシーズンになると地上波で放送され、そのたびにSNSが大盛況。クライマックスでは主人公、健二の叫びにあわせてTwitterが「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」で埋め尽くされるのがおなじみの光景に。細田守監督による初の長編オリジナル作品として2009年に公開された『サマーウォーズ』は、いまや夏の風物詩となりつつある。
巨大なインターネット空間「OZ」に、謎のハッキングAI“ラブマシーン”が出現。それはOZを支配するだけでなく現実世界をも混乱に陥れ、やがて地球規模の危機を引き起こす事態に。高校2年生の健二は、数学オリンピックを目指すほどの非凡な頭脳を活かしてラブマシーンに挑む…というのがあらすじだ。
個性あふれる大家族の面々とノスタルジックな日本の夏の原風景
健二と共に危機に立ち向かうのは、同じ学校に通うあこがれの先輩、夏希の親族である陣内家の人々。みんなマイペースで個性もバラバラな大家族だが、ひとたびピンチに陥った時の団結力はハンパない。電気店を営む太助はタタミ何畳分もあるスーパーコンピュータを、漁師の万助と自衛隊員の理一はそれぞれ巨大な発電機と通信設備を持ち寄って、最強最速&完全無欠のネット環境を構築。“細田版アベンジャーズ”と言えなくもない頼もしさで戦いをサポートしてくれる。
この陣内家、戦国時代から続く名家という設定で、門から家屋まで徒歩何分?というほど広大な敷地にあるのだが、そこで描かれるのは意外にもありふれた日本の夏の原風景。大きなちゃぶ台いっぱいに並んだごちそう、お酒が入ってゴキゲンな親族とみんなをまとめる厳しくもやさしいおばあちゃん、テレビで流れている甲子園の予選大会―幼い頃に父母の田舎で夏休みを過ごした経験のある人にはたまらなく懐かしい。また、野球の戦況が、ラブマシーンとの戦いにシンクロしているところにも遊び心が感じられておもしろい。
ちなみに、陣内家のモデルとなっているのは、長野県上田市にある細田監督の義実家。結婚の挨拶のために訪れた際、集まった親族のつながりに驚いた体験が脚本に反映されているという。陣内家の人々に囲まれて戸惑っていた健二が、実は十数年前の細田監督の姿だった思うとなんだか微笑ましくもある。