中国での大ヒットも納得!長澤まさみ、妻夫木聡、三浦友和、鈴木保奈美ら日本人俳優が示す中国人気

コラム

中国での大ヒットも納得!長澤まさみ、妻夫木聡、三浦友和、鈴木保奈美ら日本人俳優が示す中国人気

中国の旧正月に公開されると、初日で興収約164億円、公開4日間で約490億円を上げる大ヒットを記録した『唐人街探偵 東京MISSION』(公開中)。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)が打ち立てた、全世界オープニング興行収入首位の記録を抜くなど、歴史的大ヒットとなっている。

『唐人街探偵 東京MISSION』は公開中
『唐人街探偵 東京MISSION』は公開中[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

ワン・バオチャンとリウ・ハオランという中国の人気俳優コンビが、世界各国で起きる事件を解決していく本シリーズ。1作目『唐人街探案』(15)はバンコクで、続く『唐人街探案2』(18)はニューヨークで起こる騒動を描いてきた。そして本作では東京が舞台、ということで日本の俳優も多く出演している。

世界中の事件を解決してきた探偵コンビのタン・レン(ワン・バオチャン)とチン・フォン(リウ・ハオラン)。彼らは日本の探偵、野田(妻夫木聡)に頼まれ、東京で難事件の解決に挑むことに。その事件とは、東南アジアのマフィアのボス殺しで犯人として起訴されたヤクザの組長(三浦友和)の冤罪を証明する、というもの。タイの探偵ジャー(トニー・ジャー)も加えて4人で捜査に乗り出していくも、エリート警視正の田中(浅野忠信)に目を付けられ、証人であるマフィアのボスの秘書、小林(長澤まさみ)は指名手配犯の村田(染谷将太)に誘拐されたりと難題だらけ。さらにチン・フォンが逮捕されてしまい…。

妻夫木聡演じる野田は、知能は高いがナルシストなところもあるクセ者なキャラクター
妻夫木聡演じる野田は、知能は高いがナルシストなところもあるクセ者なキャラクター[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

と、ざっとあらすじを説明するだけで、日本のビッグネームがこれでもかと名を連ねているが、彼らに共通していることは中国での知名度や人気が高いということだ。例えば、前作からこのシリーズに参加している妻夫木は、出世作となった『ウォーターボーイズ』(01)が、実は日本よりも韓国で大規模公開されるなど、早くからアジアでの人気を確立。今年8月、中国では『ウォーターボーイズ』の20年越しのリメイク作『五個撲水的少年』も公開される。さらに中国映画では、2015年にホウ・シャオシェン監督の『黒衣の刺客』に出演し、短い時間ながら重要な役を演じ、存在感を放った。

妻夫木聡は、出世作『ウォーターボーイズ』の頃から絶対的なアジア人気を築き上げてきた
妻夫木聡は、出世作『ウォーターボーイズ』の頃から絶対的なアジア人気を築き上げてきた[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

長澤もまた、ジョン・ウー監督の『The Crossing ザ・クロッシング』二部作で主要キャストの一人として名を連ねたほか、『コンフィデンスマンJP』(19)で上海国際映画祭のレッドカーペットに登場した際には、その模様が中国全土に放送されトレンドワードで1位になったほどの人気ぶり。

【写真を見る】中国でトレンド1位になったことも!長澤まさみの人気は中国でも圧倒的だ
【写真を見る】中国でトレンド1位になったことも!長澤まさみの人気は中国でも圧倒的だ[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

染谷は日中共作のチェン・カイコー監督作『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』(17)で主演として全編中国語の演技を披露。この作品は、中国で約92億円稼ぎだすヒットを記録し『唐人街探偵 東京MISSION』に抜かれるまで、日中合作の作品としては中国No.1ヒット作だった。さらに浅野は「マイティ・ソー」シリーズをはじめ、ハリウッド大作に幾度となく出演しているほか、『The Wasted Times』(16)というチャン・ツィイーらとの共演作で主演を務めるなど、中国でも活躍しているのだ。

エリート警視正の田中を演じる浅野忠信のアジアでの知名度はもはや言わずもがな
エリート警視正の田中を演じる浅野忠信のアジアでの知名度はもはや言わずもがな[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

「赤い疑惑」の視聴率は80%とも言われ、中国で最も知られている俳優の一人である三浦友和
「赤い疑惑」の視聴率は80%とも言われ、中国で最も知られている俳優の一人である三浦友和[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

そんな彼らを凌ぐ、圧倒的な知名度を誇るのが三浦友和だ。三浦が日本で大きく活躍した1970年代は、日中国交正常化が発表された時代。76年に中国で文化大革命が終わると、70年代末頃からは改革開放によって日本のコンテンツも輸入されていく。そんななか、84年に放送され、80%を超える視聴率を記録したと言われる作品が、三浦が主演を務めた「赤い疑惑」だ。


山口百恵と共にこのドラマに主演した三浦は、当時『君よ憤怒の河を渉れ』(76)の高倉健と並び、中国で最も有名な日本人の一人になることに。またその世代だけでなく、放送からおよそ30年後に「赤い疑惑」が中国で再放送。さらに最近も、中国で起きている80年代を回顧するレトロブームとともに再度視線が注がれており、中国では若者から中高年まで幅広い世代に知られる存在となっている。

鈴木保奈美は双子の川村晴子と芳子を一人二役で演じている
鈴木保奈美は双子の川村晴子と芳子を一人二役で演じている[c]WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”

そして、裁判官の姉と検事の妹という双子の姉妹を一人二役で演じている鈴木保奈美も、90年代に中国で大きな人気を集めた女優。ずばり彼女が主演を務めた「東京ラブストーリー」は、哈日族(ハーリーズー)という日本文化オタクを生みだすほどの人気作。鈴木が北京国際映画祭の記者会見に出演した際も「東京ラブストーリー」に関する質問が多く寄せられたほどだ。なお、この作品も中国でのリメイクが今年発表されており、いまなお大きな影響力を持っていることがわかる。

1作目『唐人街探案』が興収約140億円を、2作目『唐人街探案2』が約576億円を叩き出した大人気シリーズであるのはもちろん、本作がシリーズ最大のヒット作となった要因の一つとして、日本人キャストの中国での人気ぶりが挙げられるかもしれない。

文/サンクレイオ翼

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