見た目は怖いが心優しい!妖怪たちの世話好きママ・姑獲鳥【妖怪大図鑑】
勇者に選ばれた少年と個性豊かな妖怪たちが巨大な“妖怪獣”に立ち向かう、大人から子どもまでドキドキしながら楽しめる、夏休みにぴったりの映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が8月13日(金)から公開。この連載「妖怪大図鑑」では、本編に登場する妖怪&人間たちを一挙に紹介。映画の予習にはもちろん、映画を観たあとに気になったキャラクターのトリビアまで丸わかり。ちょっとコワくて、どこか憎めない、お気に入りの妖怪を探してみよう!
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は、伝説の妖怪ハンターの血を引く気の弱い小学生、渡辺ケイ(寺田心)が廃校の神社で赤いおみくじを引いたことから始まる物語。フォッサマグナから現れた巨大な“妖怪獣”を倒すため、勇者を待ち望む妖怪たちの世界へ導かれていくケイが冒険のなかで出会うのは、見た目も個性も様々な妖怪たち。ケイと妖怪たちは妖怪獣に対抗するため、最終兵器“大魔神”を復活させることに。
第5回:妖怪たちの世話好きママ・姑獲鳥(うぶめ)
今回紹介する姑獲鳥は、元々は「産女(うぶめ)」として伝わってきた妖怪。出産時に難産で命を落とした母親が、子どもに対する強い思いから妖怪になったと言われており、平安時代の「今昔物語集」にすでに登場している。水辺に現れ「赤子を抱いてほしい」と言ってくるが、その赤子を受け取るとどんどん重くなり、やがて殺されてしまうとか。一方、中国の伝承で登場する鳥の姿をした鬼神の姑獲鳥もまた、お産で命を落とした子どもたちをさらう妖怪。似た背景を持つ両者が、江戸時代ごろに融合したとみられている。フィクションへの登場では、実相寺昭雄が映画化したことでも知られる京極夏彦のデビュー作「姑獲鳥の夏」などが有名。
安藤サクラが演じている本作では、哀しげな情念よりも優しさが前面に出たキャラクターに。亡くなった赤ん坊を抱えながら血まみれの着物をまとっているが、その内面は心優しく世話好きで、まるで妖怪たちのお母さん的存在。妖怪の世界に迷い込んだケイに優しく接するだけでなく、ケイの弟ダイが妖怪の世界に馴染んでいる姿を見た時には、我が子のことのように心配そうに見守り、ぬらりひょんから諭される一幕も。
姑獲鳥がダイに向ける母性が、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の物語を大きく左右する…?姑獲鳥の健気な姿には、思わず感動してしまうかも!
文/久保田 和馬