北川景子が明かす、“銀幕スター”の役作り。『キネマの神様』で母として女優として決意新たに
「これからも役者という仕事を諦めず、果敢に挑戦していきたい」
北川は、2020年秋に第1子となる女児を出産した。本作の撮影中に子どもを授かっていたそうで、「まだ皆さんに報告していない時期で。山田監督に一番にお伝えしました」というが、妊娠期間と撮影が重なったことで「皆さんにご迷惑をおかけしてしまうかもしれない」との想いがよぎることもあったと告白する。
「園子役をいただいた時は、子どもを授かるとも思っていませんでした。お腹もだんだん大きくなってきますので、妊娠していない状態で衣装合わせしていたものが、徐々に入らなくなってしまうのではないか…という心配もよぎり、『各部署の方にご迷惑をおかけしてしまうのではないか。どうしよう』という気持ちが強かったです」と憂慮した。しかし山田監督に報告したところ、「いいお母さんになってくださいね。子どもを持つという経験がまた女優業をやっていくうえで糧になって、成長できるでしょうから、次のステップに行っても頑張ってください」という温かな言葉をかけてもらったのだとか。
北川は「心配があったり、それを感じさせないようにしっかりと働きたいと思ったり、いろいろと考え込んでしまっていましたが、山田監督からそういった言葉をかけていただけたことが、ものすごくうれしかったです」とにっこり。「山田監督がおっしゃるように、“人生経験を積む”ということが、役者にとっては大切なんだなと改めて思いました。励ましをいただいたことで、元気な子どもを産もうという勇気と共に、『これまでと同じように…とはいかないかもしれないけれど、これからも役者という仕事を諦めずに、ご縁がある作品には果敢に挑戦していきたい』と感じました。『私はこの仕事が好きなんだな』と実感することもできた」と山田監督の言葉から、大きな力をもらったと語る。
また「スクリーンには、子どもを授かってお腹にいる時の私と、出産後の私、どちらも映していただいているんです。そんな機会も、なかなかないですよね」と微笑みながら、「そういった意味では、松竹映画100周年記念作品であり、山田監督と初めてご一緒させていただいた作品であり、人生の節目を残していただいた作品。私にとって、忘れられない作品になりました」という。そう話す笑顔はハッとするほど美しく、母となり、年齢を重ねていく北川景子のこれからがますます楽しみになった。
取材・文/成田 おり枝