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撮影所、スタッフが集う食堂…。当時の息吹まで織り込んだ1950~60年代の再現シーン
人気小説家の原田マハによる同名小説を原作に、物語の主人公を“映画を愛する者”から“映画を制作する者”に変えて展開していく本作。
1950年代半ばに松竹に入社し、松竹大船撮影所で助監督として忙しい日々を過ごした山田監督の想いも投影され、夢と活気に満ちた当時の息吹を伝えてくれる。
映画スタッフたちの憩いの食堂“ふな喜”は、山田監督が助監督時代に顔を出していたという実在した「松尾食堂」がモデルとなっている。劇中では園子が撮影終わりの夕食をとったり、ゴウの師匠である出水宏監督(リリー・フランキー)や映画スタッフが打ち上げをしたりと何かと登場するが、当時は川島雄三監督や大島渚監督などが通う、なじみの店だったという。
そして淑子が出前を届ける映写室も細部まで作り込まれている。映写技師のテラシンは日がな映写室にこもってフィルムの状態をチェックしているが、今回セットとして設置されたフィルム映写機とデジタル映写機は本物を使用。壁に張られたメモ書きや膨大ながら整然と置かれたフィルムなど興味深い。
さらに劇中では小津安二郎監督の名作『東京物語』をオマージュしたシーンや、ゴウが出水監督に無茶ぶりされる海辺のシーンなど、映画ファンなら思わずニヤリとしてしまう映画の撮影シーンが数々登場する。また、大きな二つの円盤が特徴的なフィルムカメラも独特の味わいがあって、一見の価値ありだ。
がむしゃらになって夢を追いかけた“夢追い人”たちの哀愁を謳い上げたRADWIMPS feat.菅田将暉による主題歌「うたかた歌」が本作を彩る。そのしみじみとした情感と共に、映画を心から愛し、映画とともに青春の日々を駆け抜けた者たちの熱き想いをかみしめたい。
文/足立美由紀
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