後頭部の大きな舌がチャームポイント!食いしん坊妖怪・二口女【妖怪大図鑑】
勇者に選ばれた少年と個性豊かな妖怪たちが巨大な“妖怪獣”に立ち向かう、大人から子どもまでドキドキしながら楽しめる、夏休みにぴったりの映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が現在公開中だ。この連載「妖怪大図鑑」では、本編に登場する妖怪&人間たちを一挙に紹介。映画の予習にはもちろん、映画を観たあとに気になったキャラクターのトリビアまで丸わかり。ちょっとコワくて、どこか憎めない、お気に入りの妖怪を探してみよう!
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は、伝説の妖怪ハンターの血を引く気の弱い小学生、渡辺ケイ(寺田心)が廃校の神社で赤いおみくじを引いたことから始まる物語。フォッサマグナから現れた巨大な“妖怪獣”を倒すため、勇者を待ち望む妖怪たちの世界へ導かれていくケイが冒険のなかで出会うのは、見た目も個性も様々な妖怪たち。ケイと妖怪たちは妖怪獣に対抗するため、最終兵器“大魔神”を復活させることに。
第42回:食いしん坊妖怪・二口女
今回紹介する二口女は、後頭部に大きな口を持つ女の妖怪。江戸時代に人気を博した妖怪図鑑「絵本百物語 桃山人夜話」では、「人面瘡」(体の一部に付いた傷が化膿して人の顔のようなものができ、話をしたり、物を食べたりするとされる架空の病気)のような説話として記されており、挿絵には髪の毛が蛇のように動き、頭の口に食べ物を運ぶ様子が描かれている。一般的には「口なし女房」や「蜘蛛女房」という昔話で知られており、ケチな男のもとに嫁いできた女が、男が留守の間にその家の食べ物を後頭部の口で食べてしまうという話である。その正体は東日本では山姥や鬼女、西日本では蜘蛛とも言われている。
本作では日本の妖怪たちの仲間として登場。妖怪の世界に迷い込んだケイは、大首やぬっぺっぽうといった妖怪たちが次々と現れることに驚き腰を抜かし、ふと横を見るとそこには正座した女性の姿が。しかし髪の毛の間から、大きな口と舌がのぞいている…。振り返った二口女は、ちょうどなにかを食べようとしている真っ最中。大の食いしん坊妖怪として知られているが、言い伝えによれば正面の口から物を食べることはほとんどないのだとか。
正面から見ると普通の女性の姿をしているため、ほとんどの登場シーンで大きな舌をアピールするかのように後ろ向きに立っている。そのちょっぴりシュールな姿を『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の本編で見つけてほしい!
文/久保田 和馬