『ザ・スーサイド・スクワッド』ジェームズ・ガン×樋口真嗣の日米“怪獣好き”監督対談が実現!「小さいころからウルトラマンが大好き」

インタビュー

『ザ・スーサイド・スクワッド』ジェームズ・ガン×樋口真嗣の日米“怪獣好き”監督対談が実現!「小さいころからウルトラマンが大好き」

いよいよ公開が目前に迫った痛快サバイバル・アクション『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(8月13日公開)。とびきりやばい悪党たちが大暴れする本作を監督したのが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン。監督デビュー作『スリザー』(06)以降、ヒネリを効かせた作品を次々に発表している、ハリウッドでも屈指の個性派だ。そんなガン監督作品に心酔しているのが映画監督の樋口真嗣。特撮クリエイターとしてキャリアを重ね、『ローレライ』(05)で長編映画監督デビュー。『日本沈没』(06)や『シン・ゴジラ』(16)など大ヒット作を手掛け、現在は『シン・ウルトラマン』を制作中の、やはり日本を代表する個性派である。『ザ・スーサイド・スクワッド』公開を記念し、2人の“個性派”監督によるオンライン対談が実現!MOVIE WALKER PRESSではこの対談の全文を独占掲載する。

画面越しだが初対面を果たした2人。対談は短い時間ながらも大盛り上がり!
画面越しだが初対面を果たした2人。対談は短い時間ながらも大盛り上がり!撮影=奥野和彦

「控え目に言って最高の映画でした!」(樋口)

ガン「初めまして。『シン・ゴジラ』大好きです!」

樋口「ありがとうございます。『ザ・スーサイド・スクワッド』、控え目に言って最高の映画でした!ネタバレになってしまうので詳しくは言えないことだらけですが、弟のショーン・ガンさんが演じたイタチのウィーゼルもよかったです。海の中に入ったりと、撮影も大変だったと思います(笑)」

ガン「実際に水の中で撮ったんですが、海やビーチは全部スタジオ内に作って撮影したんです。だからある程度コントロールできる状況ではありました。潮を気にせず撮れたのはよかったですね」

樋口「マジですか!すごくうらやましいです。もう沈め放題とか(笑)?」

ガン「鬼のようにね(笑)。でもみんな衣装が重いので、撮影しているうちにだんだん溺れ始めて…あれは想定外でした」

【写真を見る】ショーン・ガン(一番左)やマイケル・ルーカー(一番右)の姿も!“新生スースク”の第1部隊を演じたキャストたちが集合
【写真を見る】ショーン・ガン(一番左)やマイケル・ルーカー(一番右)の姿も!“新生スースク”の第1部隊を演じたキャストたちが集合[c] 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC Comics

「僕は脚本を書き始めると流れに身を任せてしまうタイプ」(ガン)

樋口「最高にクレイジーで楽しい映画でしたが、アイデアはすべて最初から固めて撮影したのでしょうか。撮っている間にどんどんアイデアが湧いてくることもありましたか?」

ガン「僕は脚本を書き始めると流れに身を任せてしまうタイプなんです。特にこの作品は、リスキーな方向に流れていっても自分のなかでは制御せずに書き進めました」

樋口「すばらしい。監督の作品によく出ているマイケル・ルーカーが演じたサバントのエピソードがすごくよかったです。彼でこの映画が始まる、というアイデアもよかったと思います。これもネタバレになるから詳しくは言えませんけど、水玉模様のポルカドットマンのママもすごかった」

ガン「実は母親役を演じてくれた女優さんは、まだ脚本を全部読んでない状態で出演が決まっていたんです。でも文句を言わずにすべてのシーンを演じてくれました」

14人の悪党たちが減刑と引き換えに、“成功率0%”のデス・ミッションに臨む
14人の悪党たちが減刑と引き換えに、“成功率0%”のデス・ミッションに臨む[c] 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC Comics

「クレイジーなアイデアは大好きだけど、容赦なくカットします」(ガン)

樋口「それはすごい(笑)。特に終盤の出演シーンは最高でした。ガン監督のお気に入りキャラクターは誰ですか?」

ガン「ハーレイ・クインですね。もともとコミックスやアニメで大ファンでした。だから彼女を描くことができて、とても楽しかったですね。それと僕は変わったキャラクターが大好きなので、キング・シャークとかウィーゼル、ネズミのセバスチャンも大好きですね」

樋口「水槽の中にかわいいクラゲが出てきますよね。あれも想定外でよかったです」

ガン「あれはアシスタントが描いたイラストだったんですよ。すごくいいキャラだなと思って、映画で使わせてもらいました」

樋口「それはいいお話ですね。映画を観ていて、常識的には必要ないかも…と思える要素がいろいろあって、でもそれらも全部おもしろい。そのことが映画をよりよく、豊かにしていると感じました。それにしても、アクセルとブレーキどちらを踏むか、ガン監督の選択のセンスはすばらしい。例えばハーレイが暴れるシーンはもっと派手にできるのに抑えながら展開し、ここ一番でパッと花びらを散らせている。好き勝手やっているようで、実はものすごく理性的にコントロールしているように感じました」

ガン「僕はいつも“映画にとって大切なこと”を重視していて、アイデアが浮かぶとそれが物語や展開に役立つかどうか?を考えています。ハーレイの花も、それがプラスに働くから入れました。画面に文字を入れているのも、観ている人に状況や場所を伝えるため。クレイジーなアイデアは大好きだけど、それが作り手の自己満足でしかなかったら、容赦なくカットします」

樋口「ということは、最終的にカットした場面もあったのですか?」

ガン「たくさんありますが、すべて脚本の段階でカットしました。現場で変更はほとんどせず、予算やスケジュールをきっちり守って撮影しています!」

樋口「なんて優秀な監督なんだ(笑)!」

ガン「僕はいつもそうしてますよ(笑)」

脚本段階でかなりカットしたシーンがあると明かしたジェームズ・ガン
脚本段階でかなりカットしたシーンがあると明かしたジェームズ・ガン[c] 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC Comics

「『シン・ウルトラマン』の予告を見て、心臓がもうバクバク状態」(ガン)

樋口「僕はガン監督の映画はどれも大好きですが、『ザ・スーサイド・スクワッド』が一番お気に入りです。やんちゃだしシリアスな見せ場もあって、これまで監督が撮ってきた作品の要素がすべて詰め込まれていると感じたので」

ガン「ありがとうございます。僕は日本をはじめアジアの作品が大好きで、特に日本映画のジャンルミックスというか、いろんな要素を組み合わせるところが好きなんです。もともとアメリカ映画は“アクション”だったら“アクション”という考え方が主流でしたが、最近はジャンルを超えた作品も増えてきていると思います。そういえば樋口監督はいま『シン・ウルトラマン』を制作中ですよね」

樋口「今日はこのあと、CGのチェックです」

ガン「僕は小さいころからウルトラマンが大好きなんです。だから『シン・ウルトラマン』の予告を見て心臓がもうバクバク状態。僕らがいまもっとも必要としている映画じゃないかと思うし、学ぶところも多いんじゃないかと思っています。ぜひ劇場で観たいですね」

樋口「ありがとうございます!次はぜひ直接お会いしたいです」

ガン「僕もです。日本に行ける日を楽しみにしています。ご飯行きましょう!」


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