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入江悠監督10年ぶりの自主映画『シュシュシュの娘』、舞台挨拶でキャストから明かされた映画愛と人間力

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入江悠監督10年ぶりの自主映画『シュシュシュの娘』、舞台挨拶でキャストから明かされた映画愛と人間力

井浦は、入江監督の行動力に心酔したそうで「僕は入江監督が、去年から苦しんでる全国のミニシアターに対して様々なヒアリングをしては、どんどん発信していってる姿にとても胸を打たれて、いてもたってもいられず『応援しています』というメッセージを送ったところから始まりました。だから、もしも監督がなにかをされるのであれば、僕はもう末席で良いので、参加させていただきたいと思いました」と語った。

丹治紗枝子役の根矢涼香
丹治紗枝子役の根矢涼香

入江監督と言えば、大沢たかお主演の骨太なSF映画『AI崩壊』(20)も記憶に新しいところだが、今回自主映画を撮った理由について「僕は10年間ぐらい商業映画を撮らせていただきましたが、プロの仕事場では、いろんなスタッフさんがすごい才能を発揮されていて、監督というのは、ある種、みこしを担ぐみたいな形なんです。それで、そういうポジションに甘えていいのかなと思い始めまして」と、初心に返って自主映画に挑んだことを明かした。

今回、自主映画に初めて参加した福田は「きっかけは、映画を最初から学びたいということでしたが、一つ一つが新鮮でした。監督とこんなにやりとりをするのも初めてだったし、人としての学びになったなと。入江監督は、連ドラの撮影の準備があったにも関わらず、一つ一つの連絡を丁寧にされていました。スタッフさんが失敗しても、わかるまでそばにいてあげるって感じの連携が取れていて、絆というものも感じました」と感心しきりだ。

全国24館のミニシアターがつながった
全国24館のミニシアターがつながった

井浦も「僕は初日の1日のみの参加でしたが、ベテランのチーフ助監督さんが、セカンド、サード、フォース監督の若い学生たちにカチンコの打ち方を教えていたんです。ずっと向こうから練習する音が聞こえてきたんですが、なんてすてきな現場なんだと思いました」としみじみ語る。

さらに「その1日で十分感じれたのは、撮影時期にたまたま空いてたから参加したという人は1人もいなくて、入江組で一緒に映画を作りたいという想いや愛情がある人しかいない現場だったこと。自主制作のインディペンデント映画は一体感が大事で、低予算で少ない時間で作り上げていくには、人間力しかないと改めて思いました」と入江組のすばらしさを強調した。

その後、全国のミニシアターの観客から、質問にも答えていくことになったゲスト陣。役者やスタッフ自身も自ら宣伝部をかって出ているという本作なので、本日も全国に役者陣が待機していた。

メガホンをとった入江悠監督
メガホンをとった入江悠監督

広島の横川シネマには、広島が地元だという司秋浩役の吉岡睦雄も参加。最初は吉岡側の音声が届かず、笠井の質問に対して○✕で答えるのみのやりとりとなり、会場は大爆笑。途中でつながった吉岡は「僕の地元の広島で、親族、家族、クラスメートや昔の彼女も何人か来てます。本当に感動します」と笑顔を見せ、拍手に包まれた。


深谷シネマには、牟根田瞳役の金谷真由美が、京都の出町座にはダナン役の安田ユウが、神戸の元町映画館には自警団石原興役の児玉拓郎が参加していて、それぞれ顔を出し、上映会を盛り上げた。

入江監督は「コロナ禍でいろんな動きが制限されるけれど、出会いが少なくなるのは悔しいなと。僕も行ったことがない映画館がたくさんあるので、この機会に全国を回るしかないなと。まだまだミニシアターに客足が戻らないという支配人さんが多いので、ぜひとも皆さんの力をお借りできるとうれしいです」と訴えかけた。

取材・文/山崎伸子

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