本人出演の押井守やAwesome City Clubもピックアップ!『花束みたいな恋をした』ポップカルチャー辞典
出会いのきっかけにもなった舞台やライブも
【天竺鼠のルミネ単独ライブ「ジャンピングボレーライブ」】
独特のシュールな笑いで熱狂的なファンが多いお笑いコンビ、天竺鼠が2015年1月10日にルミネtheよしもとで開催したワンマンライブ。麦と絹はそれぞれ1人分のチケットを取っていたのに、ともにうっかりして行きそびれてしまう。結果的にそのことが、2人が運命の出会いを果たすきっかけになった。
【劇団ままごと「わたしの星」】
2009年のミュージカル「わが星」で第54回岸田國士戯曲賞を受賞した、劇作家、柴幸男が主宰する劇団ままごと。現役高校生たちがキャスト、スタッフとして参加し、火星への移住と文化祭発表をめぐる高校生たちの一日を描いた「わたしの星」は2014年に初演され、話題を呼んだ。2人の部屋の本棚には、この舞台のチラシが飾ってある。「また再演してほしいね」とずっと話していた麦と絹は、2017年8月、三鷹市芸術文化センター 星のホールでの再演を喜んでいたはずだが、仕事に忙殺される麦はそのこと自体をすっかり忘れていた。
絹が一人でプレイする姿がせつない「ゼルダの伝説」
【「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」】
2017年3月、Nintendo Switchとともに発売された「ゼルダの伝説」シリーズの(当時の)最新作。断崖絶壁に囲まれた回生の祠で100年の眠りから目覚めた主人公リンクが、祠の外に広がる雄大なハイラルの大地を舞台に、魔王ガノン討伐とゼルダ姫救出のための冒険を繰り広げる。絹にとっては、Wiiのローンチタイトル「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」以来のプレイになるとのこと。発売を楽しみにしていた2人だったが、就職先の研修に追われる麦はなかなか時間が作れず、絹は1人でゲームの攻略に挑むことに…。
このほかにも、いしいしんじ、堀江敏幸、柴崎友香、小山田浩子、小川洋子、多和田葉子、舞城王太郎、佐藤亜紀…といった2人のお気に入りの作家たちの本がびっしりと並び、絹が思わず「ほぼうちの本棚じゃん」とつぶやいた麦の本棚のシーンなど、見どころはたくさん。Blu-ray&DVDリリースを機に、映画では見逃していた様々なカルチャーをじっくりチェックし、『花束みたいな恋をした』の魅力的な世界をより深く味わってみてほしい。
文/石塚圭子