半世紀にわたって進化してきた妖怪たち…『妖怪大戦争』三部作の歩みを“造形”で振り返る - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
半世紀にわたって進化してきた妖怪たち…『妖怪大戦争』三部作の歩みを“造形”で振り返る

コラム

半世紀にわたって進化してきた妖怪たち…『妖怪大戦争』三部作の歩みを“造形”で振り返る

特殊メイクを施した演技派たちが妖怪を演じる、リブート版『妖怪大戦争』(05)

水木しげる、荒俣宏をはじめ妖怪研究の第一人者が集結した2005年のリブート版は、現代を舞台に設定が一新された。今作の敵は、歴史から葬り去られた古代民族の怨念を宿した魔人の加藤保憲。彼が妖怪と人間に使い捨てられたモノ(廃棄物)を合体させた、妖怪ならぬ“機怪”を使って復讐をもくろむ物語だ。


【写真を見る】1968年版から進化!当時11歳の神木隆之介が主演した、2005年版『妖怪大戦争』の妖怪たち
【写真を見る】1968年版から進化!当時11歳の神木隆之介が主演した、2005年版『妖怪大戦争』の妖怪たち[c]2005『妖怪大戦争』製作委員会

妖怪たちは河童の川太郎や川姫、砂かけ婆、油すまし、から傘、ろくろ首など、1968年版をベースに新キャラクターをプラス。水木しげるが参加したため、ぬりかべやカラスヘリコプターなど「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみのキャラも登場する。特殊メイクや造型の技術が格段に進歩した今作の妖怪たちは、肌の質感など細部までリアルに表現された。妖怪を演じているのは、阿部サダヲや近藤正臣、遠藤憲一、竹中直人ほか超がつく演技派、個性派の俳優たち。彼らの演技を生かす方向でデザインされ、目や表情からふとした仕草まで“らしさ”をストレートに伝えてくれる。河童を演じた阿部サダヲのなりきりぶりは、トラウマ級の迫力だった。

妖怪たちは百武朋、井上淳哉、竹谷隆之、機怪デザインを故・韮沢靖と、日本映画を代表するクリエイターが担当。伝統的スタイルをベースに、いまの時代に合わせスマートにデザインされている。デジタル時代の今作では、一反木綿や機械から手足が生えた非人間的な機怪も登場。CGだから可能になった自由なデザインの妖怪たちも楽しめる。

リブート版の要素が継承された『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

妖怪バイク“牛鬼”を乗りこなし、808匹の狸を引き連れる隠神刑部(大沢たかお)
妖怪バイク“牛鬼”を乗りこなし、808匹の狸を引き連れる隠神刑部(大沢たかお)[c] 2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

泣き虫少年タダシ(神木隆之介)が救世主である麒麟獅子に選ばれ、加藤に戦いを挑む2005年版の設定は、弱虫少年ケイ(寺田心)が妖怪ハンターとなり妖怪獣に挑む『妖怪大戦争 ガーディアンズ』に継承された。妖怪たちは引き続き井上淳哉がデザインし、2005年版を踏襲しながら狐面の女、猩猩、鬼の一族、そして大魔神などの新キャラクターを追加。小豆洗い(岡村隆史)ら前作そのままの続投キャラの存在もファンにはうれしいプレゼントだ。

謎の妖怪剣士、狐面の女(杉咲花)に導かれるケイ
謎の妖怪剣士、狐面の女(杉咲花)に導かれるケイ[c] 2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

2005年版には雪女(吉井怜)や鳥刺し妖女アギ(栗山千明)がオトナの色気を放っていたが、今作では雪女(大島優子)がその役割を担っている。大魔神や妖怪獣、土蜘蛛など怪獣系の“大物”キャラクターはCGで描かれ、空前のアクション・スペクタクルが展開。そんな過去作の総決算+αの妖怪たちの大戦争は、ぜひスクリーンで味わってほしい。

妖怪獣と大魔神が一騎打ち!
妖怪獣と大魔神が一騎打ち![c] 2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

文/神武団四郎


『妖怪大戦争 ガーディアンズ』公開記念スペシャルサイト「妖怪百鬼夜行」【PR】

関連作品