「上白石萌歌や細田佳央太がまぶしい!」『子供はわかってあげない』の沖田修一監督と原作者・田島列島が対談

インタビュー

「上白石萌歌や細田佳央太がまぶしい!」『子供はわかってあげない』の沖田修一監督と原作者・田島列島が対談

『横道世之介』(13)の沖田修一監督が、数々の漫画賞を受賞した田島列島の同名コミックを実写映画化した『子供はわかってあげない』(公開中)。本作で、沖田監督と原作者である田島との対談が実現した。主人公である水泳部の美波役に、ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」や「いだてん〜東京オリムピック噺〜」でも見事な泳ぎを披露していた上白石萌歌、美波と惹かれ合うもじくん役を、『町田くんの世界』(19)や「ドラゴン桜」で注目された細田佳央太が務めた。田島は、映画について「絶妙なキャスティングでした」と太鼓判を押す。

高校2年の夏、水泳部の朔田美波はある日、書道部のもじくんこと門司昭平が学校の屋上で絵を描いているのを目撃し、そこからお互いにアニメ好きということで意気投合する。ある日、美波はもじくんの家を訪ねたことがきっかけで、彼の兄で探偵の明大(千葉雄大)に、幼いころに別れた父親の居所を探してもらうことに。その後、父親が新興宗教の元教祖だったことが判明。その居場所を突き止めてもらった美波は、母たちに内緒で父、友充(豊川悦司)と再会し、数日間一緒に過ごしていく。

「漫画を読んだ時におもしろいと思って、映画化してみたいシーンがたくさんありました」(沖田)

沖田修一監督がメガホンを取り、田島列島の漫画を実写映画化
沖田修一監督がメガホンを取り、田島列島の漫画を実写映画化[c]2020「子供はわかってあげない」製作委員会 [c]田島列島/講談社

――沖田監督はもともと原作がお好きだったそうですが、実写映画のオファーが入った時、どんな感想を持ちましたか?

沖田「原作がとてもおもしろかったのを覚えていたので、光栄だなと思いました。漫画を読んだ時におもしろいと思って、映画化してみたいと思ったシーンがたくさんあるなかで、特に美波ともじくんの掛け合いなどを見てみたいと思っていました」

――田島さんも、沖田監督の『南極料理人』(09)がとてもおもしろかったと、以前のインタビューでおっしゃられていましたから、今回の実写化については、相思相愛な感じでしたね。

田島「そうなんです。だから最初にお聞きした時は、嘘みたい!と思いました」

――主演の2人は、これ以上にないキャスティングだと思いましたが、沖田監督はどんなことを意識して演出しましたか?

主人公である水泳部の朔田美波(上白石萌歌)
主人公である水泳部の朔田美波(上白石萌歌)[c]2020「子供はわかってあげない」製作委員会 [c]田島列島/講談社

沖田「僕がもう44歳なので、若い子たちがわいわいした映画なんて撮れるだろうか?と思っていました。でも、準備する時間がけっこうあったので、クランクイン前に何回か2人と会っていきました。みんなで遊びながら本を読んだり、書道をやったり、萌歌ちゃんは水泳の練習をしたりして、リラックスするための時間を設けられたのが良かったです」

――上白石さんの泳ぎっぷりが実にまぶしかったです。

沖田「実は背泳ぎが初めてだと聞いて、大丈夫かな?と思ったのですが、すごく良かったです。萌歌ちゃんは『3年A組~』や『いだてん』だけじゃなく、内村光良さんの監督作『金メダル男』でも水泳選手の役をされていて、別にねらったわけじゃなかったのですが、本当に水泳をする役が多いんです」

田島「確かにそうですね。私も『3年A組~』や『いだてん』を観ていましたが、すごく泳がせるんだなと思っていました」

――美波が笑いながら泳ぐというのは漫画でも描かれていましたが、上白石さんが演じるととてもみずみずしかったです。


書道部のもじくんこと門司昭平(細田佳央太)
書道部のもじくんこと門司昭平(細田佳央太)[c]2020「子供はわかってあげない」製作委員会 [c]田島列島/講談社

田島「映画で観て、『ああ、なんかいいなあ』と思いました。私は実写化を想定して漫画を描いたわけではなかったのですが、“なんだかおかしいやつ”という感じも出ていて、すごく良かったです」

――緊張するとゲラゲラ笑ってしまう美波ですが、実際にモデルにした人はいるのですか?

田島「私自身も緊張すると笑っちゃうというか、ついヘラヘラしちゃいます(笑)。肝心な時に笑っちゃうと、相手に真剣だと思ってもらえないので、そういう人生の悲しさみたいなものを出そうと思いました」

沖田「でもきっと、みんなはなんとなくそういうある種の照れみたいなものはあるように思います」

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