ドゥニ・ヴィルヌーヴが追いつづけた『DUNE/デューン』という夢路「まだ旅は終わっていない」
また特に気を配ったというのが、観念的なストーリーと娯楽性とのバランスだったという。「原作を読んだ当時、私は『スター・ウォーズ』や『2001年宇宙の旅』、『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』を楽しんでいて、なによりもエンタテインメントに強く惹かれていた時代でした。本作を作るにあたり、あのころ少年だった自分に響くものにしたい。そういう気持ちを強く持って制作に臨みました」。
「デューン」という物語、そして映画に熱中したかつての自分を一番の観客に。そのモチベーションの甲斐もあってか、作品づくりを純粋に楽しむことができたと明かすヴィルヌーヴ。「映画的な部分と娯楽性のバランスを見出すことは非常に難しく、それをしっかりと確立させるためには、本当に長いプロセスを必要としました。ですが、そのふたつの間に板挟みにされることはとても居心地が良かったのです」と、過酷でありながらも充実した旅路を回想した。
最後にヴィルヌーヴは「いまは夢が叶ったという思いでいっぱいだけれど、まだまだ旅は終わっていない」と語る。この壮大な物語がさらなる拡がりを見せること、そして長年抱きつづけた夢が、完全な形で成就することへの強い自信と期待をのぞかせていた。
文/久保田 和馬
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