北米興収は『フリー・ガイ』が2週連続1位!ヒュー・ジャックマン最新作はまさかの不発
ライアン・レイノルズが主演を務める『フリー・ガイ』(日本公開中)が2週連続Vを飾った先週末の北米興収ランキング。北米での累計興収は5850万ドルを突破し、全世界興収も1億ドルの大台を上回ることに成功。作品評価も高く、すでに企画の進行が報じられている続編に向け、さらなる弾みをつけようとしている。
前週の記事でも触れた通り、『フリー・ガイ』は北米では「45日間の劇場独占公開」が実施されている。その効果もあってか、ここ最近のディズニー作品やワーナー作品など、配信と劇場の同時公開に踏み切った作品が直面してきた“公開2週目週末の大幅な興収ダウン”は本作では見られず。前週比およそ3分の2の興収を維持する、わずか34.8%のダウンに留めたことは、同じ施策が取られる『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(9月3日公開)はもちろんのこと、今後の映画興行全体のひとつの指標となることだろう。
初登場を果たした4つの拡大公開作のなかで唯一成功といえる滑りだしを見せたのは、世界中で放送されている人気テレビシリーズの劇場版となる『パウ・パトロール ザ・ムービー』(日本公開中)。今年3月に北米でローンチした「パラマウントプラス」で同時配信も行われているものの、(同サービスがほかのプラットフォームと比較して利用者が少ないこともあるが)、3184館で興収1314万ドルという予想を大きく上回るスタートで2位にランクイン。新型コロナウイルスの子どもへの感染拡大が懸念されるなかでも、やはりファミリー向け映画は安定していることがよくわかる。
一方、ほかの3作品はいずれも鈍い出足に。7位に初登場した『The Protege』は、マーティン・キャンベル監督と「イコライザー」シリーズの脚本家がタッグを組み、マイケル・キートンとマギーQ、サミュエル・L・ジャクソンが共演の豪華布陣。8位に初登場したサーチライト配給の『The Night House』は、監督デビュー作の公開が控えるレベッカ・ホールが主演を務め、今年のサンダンス映画祭で注目を集めたスリラー映画だ。
そして9位にはクリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランが製作を務め、ヒュー・ジャックマンが主演を務める『レミニセンス』(9月17日公開)が初登場。前述の『パウ・パトロール』を上回る劇場数で公開されながら1000万ドル以上の大差をつけられるまさかの事態。映画批評を集積するサイト「ロッテン・トマト」の調査によれば、批評家からも観客からも辛辣な評価が目立っており、前週に続いて拡大公開作の明暗が大きく分かれる結果となった。
文/久保田 和馬