南沙良、ミニシアターを巡るVol.14 CINE QUINTO(後編)

コラム

南沙良、ミニシアターを巡るVol.14 CINE QUINTO(後編)

「DVD&動画配信でーた」と連動した連載「彗星のごとく現れる予期せぬトキメキに自由を奪われたいっ」では、私、南沙良がミニシアターを巡り、その劇場の魅力や特徴をみなさんにお伝えします。第14回は渋谷のCINE QUINTOさん。支配人の伊波剛さんとの対談の模様をお届けします!

「天井が高いので、爆音上映にはもってこいの映画館です」

南「ここは、もともと別の映画館だったと聞いたんですが……」

伊波「はい、渋谷シネパレスという映画館でした。前身は渋谷パレス座という古い館で、1985年にホラー映画『バタリアン』が大ヒットした時には、朝から立ち見、満席続きの大盛況。スタッフはお金をダンボール箱に入れて、足で踏み固めていたらしいです」

南「す、すごい…」

伊波「一方のCINE QUINTOは以前まで、ここから徒歩すぐの渋谷パルコパート3の8階にありました。こけら落とし作品の『バッファロー'66』はいまだ記録が破られていないほどの大ヒット。そのパルコが2016年、建て替えのため取り壊されたので一旦閉館したんです。その後2018年にシネパレスが閉館したので、既存の建物を残しつつ、CINE QUINTOをつくり上げました。実は私、ずっとシネパレスのスタッフだったんですよ」

南「ということは、CINE QUINTOにご転職されたんですか?」

伊波「結果、そうなりました(笑)。シネパレス閉館後にCINE QUINTOにお手伝いとして入っていたんですが、気付いたら支配人になっていました」

CAPTION
撮影/杉映貴子

南「気付いたら、って(笑)。ところで、上映作品は洋画も邦画も、かなり幅広いんですね」

伊波「初代シネクイントでやっていたミニシアター系、カルチャー系の作品に加え、渋谷の若者に受けがいい話題作やデートムービーも意識して上映できたらと考えています」

南「デートムービーといえば、そうだ。撮影で座らせてもらったペアシート、すごく気に入りました!でもこれって、一人で専有してもいいんですか?」

伊波「2席分のチケットを買っていただければ(笑)。映画はいつもお一人なんですか?」

南「余韻に浸りたい性分なので、終わったあとは話しかけられたくないんですよ(笑)。ペアシートのある2階席は、スクリーンの見下ろし角度もすごいですね」


【写真を見る】開放感がすごい!2階席のあるミニシアター、渋谷のCINE QUINTO
【写真を見る】開放感がすごい!2階席のあるミニシアター、渋谷のCINE QUINTO撮影/杉映貴子 スタイリスト/道券芳恵 ヘアメイク/坂本志穂

伊波「こないだ『アメリカン・ユートピア』の爆音上映をやったんですが、爆音上映の発起人である樋口泰人さんいわく、うちの音響は爆音上映発祥の地である吉祥寺バウスシアターと似てるそうです。2階席があってそのぶん天井が高いため空気がいい具合に回るようで。追加で外付けスピーカーを設置しなくてもいいと。南さん、爆音は大丈夫ですか?」

南「大きな声でしゃべる人は苦手ですが(笑)、大きな音は平気です」

伊波「じゃあ、WHITE CINE QUINTOはおすすめです。初代シネクイントがあった場所にあるんですが、こちらは7・1chサラウンドが自慢。重低音がすごいので、席の位置によっては服が揺れますよ。うちもああだったらいいなって、いつも嫉妬してます(笑)」

南「ところで、なぜ“ホワイト”シネクイントなんですか?」

伊波「“何色にも染まる”という意味です。私も館名案を出したんですが却下されました(笑)。もし南さんが館名を付けるとしたら?」

南「私、ネーミングセンスがないんですけど、つけるなら海鮮系かなあ」

伊波「え?なぜまた海鮮系?」

南「私、昔初めて設定したスマホのパスワードが、海鮮の名前だったんですよ」

伊波「それ、ここで口に出して言っちゃダメなやつです(笑)」

こちらは南さん直筆の地図
こちらは南さん直筆の地図

取材・文/稲田豊史

●CINE QUINTO
公式サイト https://www.cinequinto.com/
住所 東京都渋谷区宇田川町20-11 渋谷三葉ビル7階
電話 03-3477-5905
最寄駅 JR渋谷駅、東京メトロ渋谷駅ほか

●南沙良 プロフィール
2002年6月11日生まれ、東京都出身。第18回ニコラモデルオーディションのグランプリを受賞、その後同誌専属モデルを務める。
女優としては、映画『幼な子われらに生まれ』(17/三島有紀子監督)に出演し、デビュー作ながらも、報知映画賞、ブルーリボン賞・新人賞にノミネート。2018年公開の映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18/湯浅弘章監督)では映画初主演ながらも、第43回報知映画賞・新人賞、第61回ブルーリボン賞・新人賞、第33回高崎映画祭・最優秀新人女優賞、第28回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞し、その演技力が業界関係者から高く評価される。
最近の主な出演作に、映画『ゾッキ』(21/竹中直人監督・山田孝之監督・齊藤工監督)、映画『彼女』(Netflixにて配信)、TBSドラマ『ドラゴン桜』など。また2022年放送の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK/三谷幸喜脚本)へも出演が決まっている。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2021のニューウェーブアワード受賞。
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