“手紙”が紡ぐ、心震わせる物語。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に込められた切なる想い
京都アニメーション制作の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、2018年にテレビシリーズが放送されて以降、“泣けるアニメ”としてSNSをはじめ各方面で話題に。2020年には『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開され、いまもなおその人気が拡大し続けている。
本日の「金曜ロードショー」では、この放送のために京都アニメーションが監修した、テレビシリーズ全13話の再構成版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 特別編集版」を放送する。翌週11月5日(金)には、映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』が本編ノーカットで地上波初放送。神木隆之介や稲垣吾郎もファンを公言している本シリーズの、深夜アニメとして異例の“金ロー”放送に合わせて、初めて本シリーズを観る視聴者に向けたコメントが多数発表され、SNSなどで反響を呼んでいた。本稿では東野幸治、鈴木愛理、ROLANDといった多方面の著名人らのコメントを紐解きながら、改めて本シリーズの魅力を探っていきたい。
手紙の“代筆”を通して愛を知る、成長の物語
主人公ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、兵士として戦うことだけ教えられ、人の心を理解することができず育てられた。多くの人々を傷つけた戦争が終結し、彼女は“伝えたい想い”を汲み取り手紙を代筆する「自動手記人形」の職に就くことに。人の心を理解することができない彼女は、様々な代筆の依頼を受けながら、上官のギルベルト少佐が戦場で彼女に残した「愛してる」という言葉の意味を知ろうとする。
本シリーズは、主人公のヴァイオレットと個性豊かな登場人物たちの、思わず涙してしまうエピソードの数々が人気の秘密。コロナ禍の自粛期間中に鑑賞し、「どハマりしました」と語る東野は、「ストーリーがとてもすばらしいんです。手紙を代筆するうちに、だんだんと『愛とはなにか』ということがわかってくるんです」と、自身を虜にした物語について語り、ヴァイオレットが成長する姿に共感したという。作品の魅力を「語りきれない」と話す鈴木は、「真っ直ぐで純粋で、とにかく前に前に勇敢に立ち向かっていく姿を、心揺さぶられながら観ていました」と、なかでもヴァイオレットの無垢な気持ちに、感じ入るものがあったようだ。
ヴァイオレットを取り巻く、個性あふれる登場人物たち
本作の大きな魅力の一つは、個性的で魅力的なキャラクターたちが織りなす群像劇だ。ヴァイオレットがC.H郵便社で共に働くのは、口と態度は悪いが根はお人好しなベネディクト・ブルーや、勝気な性格でナンバーワン自動手記人形になるのを夢見るアイリス・カナリーなど、一癖も二癖もある面々。なかでもヴァイオレットを優しく見守る、社長のクラウディア・ホッジンズは、本シリーズを語るうえでは外せないキーパーソン。特に第9話で彼女に対し、過去の出来事や過ちと向き合い、前に進むことの大切さを語る場面は、本シリーズ随一の名シーンだ。
この第9話をお気に入りとして挙げた日本テレビの伊藤遼アナウンサーは、「過去に犯した過ちだけではなく、人を思ってやってきたことすべてが、ヴァイオレットという人間を作っているのだというメッセージに心打たれました。同じように罪悪感を持ち生きているホッジンズだからこそ、生きてもいいという言葉を送れたのだと思います」と、熱っぽく語っている。
京都アニメーションによる"神作画"が、キャラクターの心情に寄り添う
言うまでもないが、京都アニメーションによる緻密な映像表現と美麗な風景描写は、本作の物語をより一層味わい深いものにしている。草原に生い茂る草木まで丁寧に書き込まれた作画と、キャラクターの表情の微かな変化や足音といったセリフ以外でも心情が伝わってくる計算された演出こそ、京都アニメーションの真骨頂であり、多くのファンの心をわしづかみにするものだ。
鈴木も京アニの"神作画"に心を打たれた一人。「京アニさんの作り上げる美しい作画と音楽が大好きです。特に環境音が距離感からなにまで繊細に聴こえた時には鳥肌が立つほどでした」と想いを込めている。