『ハリー・ポッター』から『THE BATMAN』へ…ロバート・パティンソン、開拓を続ける妥協なき道程

コラム

『ハリー・ポッター』から『THE BATMAN』へ…ロバート・パティンソン、開拓を続ける妥協なき道程

J・K・ローリング原作の世界的ベストセラーファンタジー小説を映画化した「ハリー・ポッター」シリーズ。シリーズ第4弾となる『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)でデビューを飾ったのが、いまもっとも勢いのある俳優の1人、ロバート・パティンソンだ。本稿では俳優として進化を続けるパティンソンの、これまでとこれからに注目してみたい。

「三大魔法学校対抗試合」のホグワーツ代表同士、互いをライバル視しながら協力もするハリーとセドリック
「三大魔法学校対抗試合」のホグワーツ代表同士、互いをライバル視しながら協力もするハリーとセドリック写真:EVERETT/アフロ

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のセドリック・ディゴリー役で本格映画デビュー!

1986年5月13日生まれの現在35歳で、英国ロンドン出身のパティンソン。15歳の時に所属したアマチュア劇団で演技に目覚め、2004年のテレビ映画『ニーベルングの指環』でデビュー。同年公開のリース・ウィザースプーン主演作『悪女』にも参加するが、劇場公開時に出演シーンがカットされたため、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』が本格的な映画デビュー作となった。

本作でパティンソンが演じたのは、ハリー(ダニエル・ラドクリフ)より2歳上の上級生、セドリック・ディゴリー。劇中では、ホグワーツ魔法魔術学校に加えて、屈強な魔法使いが集うダームストラング校と美しくも勇敢なお嬢様軍団ボーバトン校が参加する「三大魔法学校対抗試合」が100年ぶりに開催されることになり、ハリーと共にホグワーツの代表に選ばれたセドリックは、知恵と勇気、経験を生かして危険な3つの試練に挑んでいく。

ホグワーツにはハリーたちが所属するグリフィンドール、嫌味なマルフォイ(トム・フェルトン)がいるスリザリンのほか、レイブンクロー、ハッフルパフという4つの寮がある。セドリックはハッフルパフの監督生で、同寮のクィディッチ・チームのシーカーとキャプテンも務めている。ハッフルパフ生の特性である勤勉でフェアプレーを尊ぶといった精神を体現する、まさに完璧を絵に描いたような優等生だ。


ハリーの初恋相手であるチョウ・チャンとダンスパーティーに出席するセドリック(『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)
ハリーの初恋相手であるチョウ・チャンとダンスパーティーに出席するセドリック(『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)写真:EVERETT/アフロ

ハリーに対しては、ライバルであるにもかかわらず気さくに接し、互いに試練の課題に関するヒントを送り合う場面も。その一方で、ハリーの初恋相手であるチョウ・チャン(ケイティ・リューング)をダンスパーティーのパートナーに選んでおり、その関係は少しギクシャクもしている。不器用ながらも友情を築いていき、最後の試練ではゴールに置かれた優勝杯を2人同時に掴もうとするが、これが悲劇につながってしまう。

詳細は割愛するが、勝利を確信した瞬間、次の場面でセドリックが死亡するという展開は衝撃的であまりにも残酷。闇の帝王、ヴォルデモートの復活も相まって、その後のシリーズのダークさが増していく要因となり、ハリーの心にも暗い影を落としてしまう。それだけに、シリーズでは1作きりの出演ながら(アーカイヴ映像としては続編にも登場)、セドリックを演じたパティンソンのインパクトは絶大だった。

父親のエイモスはセドリックを溺愛している。それだけに、息子の変わり果てた姿を見た彼の悲痛な叫びが胸に突き刺さる(『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)
父親のエイモスはセドリックを溺愛している。それだけに、息子の変わり果てた姿を見た彼の悲痛な叫びが胸に突き刺さる(『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)写真:EVERETT/アフロ

「トワイライト」シリーズのヴァンパイア役でブレイクするもその後は方針転換

その後、パティンソンのブレイクに拍車をかけたのが、2008~12年にかけてシリーズ5作が製作された「トワイライト」で、ミステリアスで人間離れした美しいルックスのヴァンパイア、エドワード・カレン役を好演。熱狂的なファンも生みだし、共演者であるクリステン・スチュワートとの交際が報じられたことでも注目を集めることとなった。

『トワイライト ~初恋~』をはじめとするシリーズ5本で、ミステリアスで人間離れした美しいルックスのヴァンパイア、エドワード・カレンを演じた
『トワイライト ~初恋~』をはじめとするシリーズ5本で、ミステリアスで人間離れした美しいルックスのヴァンパイア、エドワード・カレンを演じたBlu-ray 発売中 価格:1,650円(税込み) 発売・販売元:KADOKAWA

実はパティンソンは、1作目を監督するキャサリン・ハードウィックの名前を聞いて、インディーズ作品だと勘違いして出演を決めたそうで、シリーズ化されることはもちろん、自身がアイドル的な存在になるとは思ってもみなかったという。そのため、本作以降の作品では、王子様キャラを払拭するような、アート系の作品を中心にアクの強いキャラクターを演じることが多くなった。

 「トワイライト」シリーズで恋人を演じ、実生活でも交際していたクリステン・スチュワートとパティンソン
「トワイライト」シリーズで恋人を演じ、実生活でも交際していたクリステン・スチュワートとパティンソン写真:EVERETT/アフロ

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