「自分を苦しめたのも救ったのも友人だった」…神尾楓珠、山田杏奈らが熱演を魅せる『彼女が好きなものは』に共感の声
観客自身の青春時代と重なる…誰でもあった“隠していた悩み”に共感
フレッシュなキャストの熱演により、リアリティを持って綴られていく物語は、中盤、純がゲイであることが校内中に知れ渡ってしまう。周囲の残酷な反応といったセクシュアルマイノリティを取り巻く現実が描かれており、自身の経験と重なったという意見も。
「高校の時にアウティングに合い、全校にバレた。知らない人に『あの子ゲイなんだって』と言われたりした。自分を苦しめたのも友人だったが、救ってくれたのも友人だった」(30代・男性)
「高校が女子校で、周りに同性愛者がいたが自分が知らなかったふりをしていることに、この映画を観て思い知らされた」(20代・女性)
さらには、本作で描かれる登場人物たちの悩みや振る舞いについて、自分に置き換えて考えた、もしくは共感を示すコメントも目立った。
「“普通”や“世間”との葛藤、自分自身を攻撃することで抗おうとする気持ちが重なった」(20代・男性)
「周囲に合わせてしまう部分は実体験でもあると感じました」(30代・男性)
「誰だって自分を殺して周りと合わせた経験があると思う。マサツをゼロにしてモノゴトをカンタンでわかりやすくした方が世の中うまくいく。でもそんなままじゃ誰も本当の意味で幸せになれないだと感じ、勇気をもらえました」(30代・女性)
また多くの人が印象的なシーンとして挙げていたのが、病室で純が母親(山口紗弥加)にこれまで抱えていた苦悩、感情を吐露するシーン。純の切実な想いについて「誰にも理解されないのってこんなにもつらいと改めて思った」(30代・女性)といった声が寄せられたほか、「親にイラっとすることもあるけど、愛を持って接してくれていたんだと改めて思った」(30代・女性)など、純の気持ちを受け止めようとする、母親の見せる表情や深い愛情に感動した人も多かったようだ。
「より多くの人に観てほしい1本!」作品のメッセージ性が心を揺さぶる
“ゲイ”の男の子と“BL好きの腐女子”の少女が、カテゴライズされた属性を超えて、人と人として理解し合っていく姿を通し、多様な価値観を受け入れ合い、どの立場でも自分ごととして捉えることの大切さを訴えかけてくる本作。
「すべての人に見せてあげたい。理解に時間がかかったとしても、わかってほしい。とてもいい映画でした。世界で悩み続けている方々に、そして理解してくれる世のなかに変わってほしい」(20代・女性)
「10年前にこの作品を見たかった。若い人に見てほしい」(30代・男性)
「誰もが自分と向き合うために見るべき作品」(30代・女性)
「世界の広さを感じてほしい。世の中にはいろんな人がいるし、同じ気持ちで悩んでいる人にはエールとなる映画だったと思う」(20代・女性)
人と人との繋がりという真摯なテーマ性に共感した人たちからは、「人に見せたい」との熱いメッセージが次々と寄せられている。
「それぞれが自分の考えと相手の気持ち双方を考えていくところが見えてとてもよかったです。それぞれにとって『幸せとは』を考えさせられました」(10代・女性)
「『普通』ってなんだろうと改めて考えさせられた」(50代・女性)
「いろいろな価値観を得られる作品」(30代・男性)
といった言葉が示しているように、それまでの自分の在り方、考え方について、改めて深く考えさせられる『彼女が好きなものは』。ただの青春映画と侮ることなかれ、「美化することなく、真っ向から向き合った作品」(20代・男性)だからこそ、より多くの人にスクリーンで確かめてほしい。
構成・文/サンクレイオ翼