『ミラベルと魔法だらけの家』で大抜擢!シンデレラガール・斎藤瑠希が語る、“歌のギフト”を与えたディズニー映画
「いまここにいるだけでも『うわぁ、夢じゃないんだ!』っていう気持ちがあふれ出てきています」。ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオの長編アニメーション60作目となる『ミラベルと魔法だらけの家』(公開中)で、主人公のミラベル役の日本版声優に大抜擢された新星、斎藤瑠希はこの上ない喜びを噛みしめる。「初めは信じられないくらいびっくりで…。楽譜と台本をいただいたときに、ようやくディズニー作品に関わらせていただけるのだと実感がわきました」。
本作の舞台は南米のコロンビア。魔法の力を与えられた不思議な家に暮らすマドリガル家では、5歳の誕生日を迎えると一人一人に特別な個性を持つ“魔法のギフト”が家から与えられていた。しかし三姉妹の三女であるミラベルだけはそれをもらうことができず、家族のなかで疎外感や不安を抱えながら、それでも笑顔を絶やさずに暮らしていた。ある時ミラベルは、魔法の家に大きな亀裂があることを発見。それは世界から魔法が失われていく前兆だった…。
Little Glee Monsterを輩出したプロジェクト「最強歌少女オーディション2014」で育成クラスに選出され、2019年に渡辺ミュージカル芸術学院に1期生として入学した経歴を持つ斎藤は、まだ演技経験の少ない19歳。アフレコに挑戦するのも今回が初めてだったとのことで、「声で表現するということがこんなにも難しいものとは思っていませんでした」と吐露。「英語の口の動きと日本語を合わせるのがすごく難しく、言葉のどこにアクセントを乗せたら本当にミラベルが喋っているように聞こえるのかと考えたり。楽しかったですが、とても難しかったです」と振り返った。
そんな彼女がこの大役に抜擢される決め手となったのは、その圧倒的な歌唱力にほかならない。斎藤の歌声を聴いたディズニーのUS本社の関係者は「鳥肌が立った」と手放しに絶賛。また、日本版で音楽演出を務める市之瀬洋一も「難しいリズムのなかに色々な表情を織り込んで歌ってくれました。こちらの要求に対する反応もすばらしく、的確に迅速に応えてくれました」と、斎藤が持ち合わせている歌の“ギフト”にただただ脱帽したことを語っている。
「『メリー・ポピンズ』という作品に出会い、その楽曲の世界観に惹かれて音楽が好きになりました」と明かす彼女は、幼い頃から歌うことが大好きだったという。「初めて洋楽を歌うきっかけになったのもディズニー作品の『ハイスクール・ミュージカル』でした。ディズニー作品は私にきっかけをくれた、特別な存在だと思っています」と、ディズニーとの縁の深さを感じさせるエピソードも。
また、ミラベルとの運命的な共通点についても語る。「ミラベルのことを知ったときに一番びっくりしたのが、彼女が三姉妹の三女ということでした。実は私も三姉妹の三女。ミラベルは魔法が使える姉と、なにも持たない自分とを比べてコンプレックスを感じてしまいます。姉がいると妹はどうしても比べられてしまう場面があると思いますし、自分で姉と比べて落ち込んだりもします。そういう部分にすごく共感することができました」と、役に臨むに当たって自身とミラベルの境遇を重ね合わせていたようだ。
そして「家族のなかだけでなく、ほかのコミュニティのなかでも周りと比べて自分を下げてしまうことはあると思います。でもそのなかで、自分だからできることや、自分にしかできないこともきっとあるはずです。それを信じて突き進む勇気を、ミラベルがこの作品で教えてくれるんです。この映画を観終わった後は『よし、明日もがんばるぞ』という活力にしていただけたらなと思っています!」と、ミュージカル女優としての第一歩を飾る、本作に込めた想いを力強く語った。
構成・文/久保田 和馬