ロザムンド・パイクが悪女を怪演!スクリーンで妖しい魅力を放つ“したたかな女”たち
100%共感不能な法廷後見人のマーラ/『パーフェクト・ケア』
そして最新作『パーフェクト・ケア』では、華麗かつ徹底的に人を欺く100%共感不能な悪女マーラ・グレイソンが大暴れする。マーラを熱演したロザムンド・パイクの評価も高く、彼女は第78回ゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル)で最優秀主演女優賞を受賞した。
マーラは判断力が衰えた高齢者のお世話をする法廷後見人。“完璧なケア”をする彼女は裁判所からの信頼も厚いが、実は医師やケアホームと結託して高齢者から資産を搾り取る悪徳後見人だ。
ある時、マーラとパートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)は、身寄りのない資産家ジェニファー(ダイアン・ウィースト)をターゲットに定め、まんまとケアホームに送りこむ。全ては順風満帆かと思ったのも束の間、マーラたちはジェニファーの背後にいた冷酷なロシアン・マフィア(ピーター・ディンクレイジ)に追い詰められていく。
本作の監督&脚本を務めた『アリス・クリードの失踪』(09)のJ・ブレイクソンは、実際にアメリカ国内で発生した法廷後見人による搾取の実態を知り、物語を思いついたという。物語の前半では、高齢者本人や親族が不在のまま法廷で後見人が設定され、成す術もないままケアホームで隔離された彼らの資産が食いつぶされていく様子がマーラの鮮やかな手口として描かれる。
そして後半ではジェニファーを取り戻したいロシアン・マフィアとマーラの頭脳戦がスピーディかつスリリングに展開していく。マーラたちの行いは決して肯定することはできないが、窮地に陥ってもなお諦めないその狡猾さやしぶとさが観る者を強烈に惹きつけることは間違いないだろう。
タフで頭の回転が速く、したたかだけれど魅力的なヒロインたち。彼女たちの活(暗?)躍をこの機会に堪能してほしい。
文/足立美由紀
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