「映像革命」の新たな幕が開く!『マトリックス レザレクションズ』が“IMAX推し”な理由
1999年に第1作が公開され、世界中で空前の社会現象を巻き起こした「マトリックス」シリーズ。その18年ぶりの新章となる『マトリックス レザレクションズ』が全米に先駆け、ついに公開を迎えた。あの“映像革命”と謳われた第1作から22年。本作も、期待に違わず最新鋭の映像表現が満載になっており、さらに国内すべてのIMAXシアターで上映中ということで、筆者としては迷わず“IMAX推し”したいところ。本稿では、すべての始まりとなった第1作の革新を振り返りながら、さらに進化した最新作をIMAXでこそ観るべき理由を解き明かしていく。
映画の歴史を塗り替えた『マトリックス』とは、なんだったのか?
記念すべきシリーズ第1作『マトリックス』が公開された1999年は、20世紀終盤を代表する当たり年であった。「スター・ウォーズ」シリーズの新たな幕開けとなった『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』をはじめ『ファイト・クラブ』や『シックス・センス』、POVホラーのはしりとなった『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』など、その後の映画史に大きな影響を与える作品が次々と公開。そのなかでも、当時の観客にもっとも大きなインパクトを植え付けたのが『マトリックス』だったと断言していいだろう。
表向きは大手企業に務めるプログラマー、裏では天才ハッカーとして暗躍していたネオことトーマス・アンダーソン(キアヌ・リーヴス)は、ある日正体不明の美女トリニティー(キャリー=アン・モス)に導かれてモーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)と出会い、世界の驚くべき真実を知らされる。現実だと思っていた世界は“マトリックス”と呼ばれる仮想現実であり、人々はAIによって支配され幻を見させられているに過ぎない。その世界を人間の手に取り戻すことができる“救世主”であると告げられたネオは、修行を重ねて壮絶な戦いへと身を投じていくことに。
想像力を刺激するストーリーと革新的な映像表現。そして誰も見たことのないようなスタイルで描かれるアクションシーンの数々に、当時の観客の多くが映画の未来を確信したことだろう。代名詞ともいえる“バレットタイム”と呼ばれる撮影技法は、その後の多くの映画に用いられることとなり、アクション映画の“見せ方”を一新。特に有名なトリニティーが跳躍から見舞うキックや、ネオが後ろにのけぞりながら銃弾を避けるシーンは、『マトリックス』を象徴するビジュアルとして広く浸透。ジャンルを問わないさまざまな映画でオマージュが捧げられるなど、いまなお世界中の映画ファンの共通言語となっているほどだ。
そんな本作は、日本のアニメーション作品から絶大な影響を受けたことでも知られている。オープニングから観客を引き込む“マトリックス・コード”と呼ばれる緑色の文字列や、頭にプラグを挿入してネットワークへと接続する方法。さらに銃撃戦で銃弾がコンクリートを破壊する演出などは、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)の影響を強く感じさせる。ほかにも大友克洋監督の『AKIRA』(87)や、香港のカンフーアクション映画などから受けた影響も随所に散りばめられており、映画ファンにさまざまな“デ・ジャヴュ”を与えてくれた。