「映像革命」の新たな幕が開く!『マトリックス レザレクションズ』が“IMAX推し”な理由
シリーズをアップグレード!IMAXで観るにふさわしいリアルな映像に息を呑む
世界観はもちろんのこと、やはり「マトリックス」に誰もが期待するのは“見たことがない”映像表現ではないだろうか。本格的なCG技術がまだ過渡期だった1999年から22年の月日が流れ、映画技術がめざましいほどの進化を遂げたということは、いまさら説明の必要もないだろう。ラナ・ウォシャウスキー監督はその想像力と最新鋭の技術を掛け合わせて、どんな画期的な映像を作りだしたのか。
オフィシャル・インタビューに応じたウォシャウスキー監督はこう語る。「シリーズの代名詞になるようなアクションをお見せしたかった。そこでキアヌとキャリーが手をつないで全速力で走り、高層ビルの屋上からジャンプするというシーンを考案し、美しい朝日を背景に自然光で撮影しました。完全な実写にしたかったのです」。キャストに入念なトレーニングを行なってもらい、空模様を気にかけ太陽が昇る数十分の間で求めるショットを正確に撮りあげる。VFXだけではない生の演技の緊張感は、IMAXの高品質の映像でこそ、確かなリアリズムを持って感じることが出来るというもの。昔ながらの職人技で革新的な映像を生みだす。それこそがラナが目指した「いまの“マトリックス”」の姿なのだ。
また視覚効果監修を務めたダン・グラスは「CGが完全に一体化していると感じられるようにしなければならなかったし、撮影された映画のサポート役だと感じられなければならない」と、ストーリー面のみならずビジュアル面でもスクリーンの内側と、現実世界の境があいまいになるほどのリアリティを追求したことを明かしている。バレットタイムをはじめとした“「マトリックス」らしい”アクションシーンがさらなるクオリティで表現されるのはもちろん、よりそれが現実と直結したものに感じるような工夫が施されていく。それはまさに、“見たことがある”世界のなかで、“見たことがない”ことが起こる、衝撃的な映像に仕上がっており、IMAXスクリーンの没入感こそが、このおどろきを体験する最高の環境といえるだろう。
たしかに「マトリックス」3部作が公開された頃は、観客にとって映画は“観る”だけのものであった。しかし、3作共にオープニングから“マトリックス・コード”の奥へと入り込んでいく描写で幕を開け、観客をマトリックスに支配された世界へと連れていくこのシリーズは、そもそもが“体験する”ための映画であったということだ。それから18年の間でIMAXというラージスクリーン・フォーマットが広く普及したことで、我々は「マトリックス」の新章を、物語にもっともふさわしい形で鑑賞することができるようになった。
現在国内で39の映画館に導入されているIMAX、そのすべてのスクリーンで本作の上映が行われるという。壁一面に広がる巨大なスクリーンと体の芯まで届く圧倒的な音響は、『マトリックス レザレクションズ』の没入感を全身で堪能するには、まさにうってつけの環境。
細部にまでこだわり抜かれた映像表現と、しびれるようなアクション。画面を支配する空気感を浴びる、ネオやトリニティーと一緒に空を飛ぶ。華麗な復活を遂げた「マトリックス」をIMAXで体験することは、映画史の新たな幕が開く瞬間に立ち会うことを意味している。
文/久保田 和馬