『マトリックス レザレクションズ』は、いまの時代に観るべき極上のエンタテインメント!

コラム

『マトリックス レザレクションズ』は、いまの時代に観るべき極上のエンタテインメント!

こんなことを考えたことはないだろうか?いま、私たちの目の前に広がる世界は当然、“現実”である。でも、もしかしたらそう思わされているだけで、本当は現実ではないかもしれない――。本日公開となった最新作『マトリックス レザレクションズ』は、我々の常識を超えた“現実世界”と“仮想世界”の設定で観る者を驚かせる。キアヌ・リーブスにとってかけがえのない代表作で、過去のシリーズを観ていない人にとっては、新鮮なサプライズが待ち受ける期待作である。

※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

ゲーム会社のデザイナー、ネオが抱く世界への違和感

本作の冒頭で描かれるのは、主人公ネオの“日常”である。ゲーム会社でデザイナーとして勤務している彼は、やや日々の作業に疲れ気味。とはいえ、人気ゲームの開発者として一応、満たされた人生を送っているようである。しかし本作はこの冒頭から、奇妙な違和感の“種(たね)”を蒔いていく。鏡に写っているのはなにか?見覚えのある相手と遭遇したように感じるが、あれは誰なのか?ネオが感じる不可思議なムードに、私たち観客も浸っていく。この違和感、不安感がその後、未体験の世界へ案内される期待を高めていき…。それこそが「マトリックス」の魅力であると、改めて実感するのだ。

不自由ない生活を送りながらも、現実世界にどこか違和感を覚えているネオ
不自由ない生活を送りながらも、現実世界にどこか違和感を覚えているネオ[c]2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

現実だと思っていた世界は仮想空間だった!ネオの目覚め

やがてネオの前に、白ウサギのタトゥーを入れた謎の人物、バッグス(ジェシカ・ヘンウィック) が現れる。彼女は『マトリックス レザレクションズ』の物語をスタートさせる役割を果たしているキャラクターだ。バッグスによって、ネオは果てしない衝撃を受ける。「いまこうしてゲームデザイナーとして仕事をしている自分は、現実じゃなかった!」というわけだ。“日常”だと思い込んでいたそれこそが“仮想世界”だったのである。

ネオを現実世界へといざなう謎の女性、バッグス
ネオを現実世界へといざなう謎の女性、バッグス[c]2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

「マトリックス」の世界には、赤いピルと青いピルがあり、赤を飲めば真実を知り現実世界で目覚め、青を飲めば仮想世界=マトリックスに留まり、何事もなかったかのように“日常”に戻ることができる。バッグスの使命は、いま仮想世界にいるネオを、自分たちの現実世界に連れて行くこと。真実を確かめるべく赤いピルを飲むと決意したネオは、バッグスに導かれて現実世界へと向かっていく。「不思議の国のアリス」で白ウサギに別世界へ案内されたアリスのように…。

ここで観ている我々も「マトリックス」世界の全貌がわかってくる。ネオにとっては異世界に“入り込んだ”感覚だが、冷静に考えれば、これは“戻った”ということ。これこそが人間にとっての現実であり、すべての常識が変わる瞬間を、我々は目にすることになる。一見、にぎやかで楽しいゲーム会社での日々とは真逆に、この現実世界はどこかダークで絶望的。現実世界では、何十億もの人類がAIによって栽培され、その支配を逃れたバッグスら一部の人間が戦いを強いられている。

バッグスと共に現実世界で戦う人間たち
バッグスと共に現実世界で戦う人間たち[c]2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

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