『なにたた』で2度目の夫婦役、小池栄子が安田顕との共演に充実感「大泉洋みたいに細かくない!」

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『なにたた』で2度目の夫婦役、小池栄子が安田顕との共演に充実感「大泉洋みたいに細かくない!」

つぶやきシローの同名小説を、『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(18)の李闘士男監督&安田顕のタッグで映画化した『私はいったい、何と闘っているのか』(公開中)。本作の公開記念舞台挨拶が18日にテアトル新宿で開催され、主演の安田を筆頭に、小池栄子、岡田結実、SWAY(劇団EXILE)、菊池日菜子、そして李監督が登壇した。

本作は町の住民たちに愛されるスーパー“ウメヤ”で万年主任として働き、家では典型的なマイホームパパの45歳、伊澤春男の日常を切り取ったコメディ。日々周囲に気を配りながら生き、理想と現実のギャップにうんざりしながらも脳内で闘いつづけていた春男。そんななかウメヤで緊急事態が発生。さらに娘の小梅から「会ってほしい人がいるの」と告げられることに。そしてついに別店舗の新店長にという打診が舞い込み、舞い上がる春男だったが…。

冒頭からテンション高めに挨拶した安田は、公開初日に自身の両親が作品を観に行ったことを明かす。「来年79歳と74歳になるんですが、役の大小にかかわらず必ずいつも初日に観てくれるんです。『顕と小池栄子さんはもちろんのことだが、登場人物皆さんがとてもすばらしかったです。周りの方への感謝と思いやりを忘れることなく今後も頑張ってください。とってもよかったですよ』といただきました」とうれしそうな表情。

一方、2019年に放送されたドラマ「俺の話は長い」に続いて安田と夫婦役を演じた小池は、現場での安田について「とても優しいです。大泉洋みたいに細かくない!」と会場の爆笑を誘い「ぜひ3度目もよろしくお願いします」。そして自身が演じた律子という役柄については「監督は律子が自己中な女性に見られちゃうと心配してくださったのですが、不完全な律子が春男さんや家族の優しさを感じて一人の女性として成長していく物語で、役を通して勉強にもなりました」と述懐した。

そんな2人が河原で「バカヤロー!」と叫ぶシーンに強い思い入れがあるという李監督。「つぶやきシローさんの原作にもないシーンだったのですが、セリフ自体には意味はないけれど、この夫婦は乗り越えたんだと、もう大丈夫なんだと、言葉の意味を超えた関係をやりたかったんです」と、そのシーンがラストシーンにつながったことを明かす。


すると安田は「ラストの家族のシーンはちょうどクランクアップの日で、前回ご一緒した時も最後がお酒を飲むシーン。その時は本当に飲んでご苦労をかけてしまったのですが、監督は今回も楽しくいきましょうと本物のお酒を用意してくれて『あなたが私の作品に出るときは飲んで終わってください』と。すごく粋だなと思いました」と振り返る。そして3度目のタッグに期待をのぞかせながら「次は撮影初日から(お酒を)お願いします」と呼びかける安田だったが、直後に2022年の抱負として挙げたのは「酒量を減らす」こと。会場は再び大きな笑いに包まれた。

最後に安田は「これがお正月映画としてたくさんの人に観ていただけたらいいなと思います」と期待を込めると、「この1、2年でささやかなものを感じるようになって、この映画にはそういった“ささやか”なものが溢れている。日常はどんな方たちにも必ずあって、そこに幸せを感じられるかどうかは自分たち次第なのだとこの映画に教えられた気がします。老若男女に愛してもらえる映画を作ってくださった李監督に感謝しています」と語った。

取材・文/久保田 和馬

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