コラム 2021/12/22 20:30

松坂桃李vs鈴木亮平の肉弾戦！『孤狼の血 LEVEL2』は、お茶の間に媚びない“大人”のエンタメだ

普段とまったく違う表情を…松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎のワルな魅力

さて、本作の注目ポイントはなんといっても豪華役者陣のエネルギッシュな演技。俳優同士がしのぎを削る演技合戦を披露している。

松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎のギャップ炸裂！ドラマでは決して見られない表情が堪能できる[c]2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

主人公の日岡を演じるのは、いまや世代を代表する俳優となった松坂桃李。前作では、真面目な優等生刑事で、大上に振り回されまくっていた日岡だが、今回は不良刑事に豹変！鋭い目つきや迫力ある広島弁、くわえタバコにサングラスという姿もさまになっており、ワルな色気があふれだす。今年は“イケメンだけど中身はスカスカ”と言われる名門大学の広報マンを演じた「今ここにある危機とぼくの好感度について」、ヘタレな青年に扮した“入れ替わりラブコメディ”「あのときキスしておけば」などドラマ界ではポンコツキャラで存在感を発揮した松坂。狂犬のような日岡とのギャップは驚異的で、2021年も改めて彼の役者としての力量に圧倒された1年だった。

“日本映画史に残る悪役”を演じる鈴木[c]2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

また日岡の前に立ちはだかる、最恐最悪のモンスター・上林に扮したのが鈴木亮平だ。ちょうど本作の公開時期に放送されていた日曜劇場「TOKYO MER～走る緊急救命室～」では、主人公の救命救急医、喜多見役を演じて注目を集めた鈴木。リスクを背負って人を助ける喜多見は、命の危険が迫っている人にとっての“ヒーロー”。一方、“オヤジ”の仇として日岡に狙いを定める上林は、刑務所でも取り扱い注意となるほど残酷非道な男だ。白石監督の「日本映画史に残る悪役にしたい」というビジョンを受け、鈴木は、映画冒頭で目つぶしで人を殺すという衝撃的な場面から圧倒的な狂気を体現。「とんでもない映画が始まった…」と観客を震え上がらせるような“ヴィラン”を作りあげた。

【写真を見る】怖すぎる…眉毛を剃り、不気味な笑顔をたたえる“モンスター”を演じた鈴木亮平[c]2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

そして日岡と上林の間でスパイとして揺れ動くチンタを演じるのが、村上虹郎。放送中のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では、上白石萌音演じるヒロインに一途な想いを寄せる実直な青年、勇ちゃんを好演してお茶の間にもファンを増やしている。本作では、取調室でタバコをふかし「美味じゃあ」とご満悦になるヤンチャ感や、ふがいない状況からなんとか抜けだしたいと願いながら、次第に取り返しのつかない事態に巻き込まれていくチンタの弱さと強さ、せつなさまでをすばらしく表現している。なんでも村上は数多くのヤクザ映画に触れ、その根底にあるものを徹底的に勉強し直してチンタ役に臨んだという。ドラマ界を賑わせている3人の、ここでしか見られない表情は必見だ。

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