可憐で大胆、スキャンダラス…名女優たちが演じてきた、ダイアナ妃の再現度を比較!
2022年は『スペンサー(原題)』に続きドキュメンタリーも登場
その他、ダイアナ妃を題材にした作品を3つご紹介。結婚式のわずか1年後に公開された、ダイアナ妃とチャールズ皇太子の豪華絢爛なロイヤルウェディングまでの道程を描いた『Charles & Diana: A Royal Love Story』(82)では、『007/リビング・デイライツ』(87)などで二代目マネーペニー役を務めたキャロライン・ブリスがダイアナ妃に扮し、元気でハツラツとした笑顔を振りまいている。ダイアナ妃の協力を得て、作家アンドリュー・モートンが執筆した伝記が基のTV映画『Diana: Her True Story』(93)は、スレンダーなイギリス女優セレナ・スコット・トーマスが、ダイアナ妃の孤独な心情を顕在化させた。TV映画『Princess in Love』(96)では、猫顔の美人女優ジュリー・コックスが主演し、離婚成立前に起こったジェームズ・ヒューイット大佐とのスキャンダラスな恋を描く。これらの作品は、前述の作品と比べると制作費は控えめだが、再現度は上々。ダイアナ妃の人生のある一幕にスポットを当てた内容がそれぞれ興味深い。
そして、来年公開予定の『スペンサー(原題)』は、1991年のクリスマス休暇にダイアナ妃が重大な決断をする3日間を静かなトーンで映し出す。王室の伝統的な休暇地であるサンドリンガム・ハウスを舞台に、チャールズ皇太子との冷え切った関係やエリザベス女王たちとの価値観の違いが決定的になり、引き裂かれていくダイアナ妃の姿が描かれる。主演のクリステンは、これまでのボーイッシュな刈り上げヘアから、フェミニンなブロンドスタイルへと大変身。ベール付きの帽子をかぶった横顔は、クリステンと全く分からないほどダイアナ妃そのものだ!
身内であるはずの王室メンバーから冷ややかな目線を向けられ、屋敷から一歩出ればマスコミの容赦ないフラッシュが浴びせられる生活に擦り切れそうになるダイアナ妃を、愁いを帯びた表情や不安げな背中で繊細に表現している。そのクリステンの熱演ぶりは、キャリア史上最高ともいわれており、すでにゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされているほか、数々の映画賞を受賞!ダイアナ妃の抱えていた孤独が痛いほど伝わってくる。
2022年には、『Spencer』のほかドキュメンタリー映画『Diana』も公開を控える。可憐で大胆、優雅で気さく、スキャンダラスで純粋。多面的なカリスマ性で世界を虜にした故ダイアナ妃の人気は、いまもなお色褪せないようだ。様々な女優たちが演じる彼女の姿をぜひチェックしてみてほしい。
文/水越小夜子