下北の“ヴィレバン”、明大前の“くじら公園”…『明け方の若者たち』井上祐貴&カツセマサヒコ&松本監督がロケ地巡り!
『明け方の若者たち』が現在公開中だ。人気ライターであるカツセマサヒコの同名デビュー小説を映画化した本作では、東京の明大前や下北沢を中心に原作に出てくる実在の場所も多く登場し、忠実に再現されたこだわりも大きな魅力になっている。
そこで今回、原作者のカツセと本作を手掛けた23歳の新鋭監督、松本花奈、そして主人公の“僕”と“彼女”を見守る親友の尚人を演じた井上祐貴の3人で想い出のロケ地巡りを敢行。“僕”と“彼女”が出会った日に寄った明大前の「くじら公園(玉川上水公園)」をはじめ、初デートで立ち寄った下北沢の「ヴィレッジヴァンガード」(以下、ヴィレヴァン)に、観劇した下北沢の「ザ・スズナリ」、“僕”と“彼女”が出会った場所であり、社会人になって再び訪れた「宮古2号店」、飲み明かした高円寺の「極楽屋」までを巡った。世代も近く気の合う3人は、終始和気あいあい。作品への想いや撮影裏話までたっぷりと語ってくれた。
本作は俳優や歌手など幅広く活躍する北村匠海が主人公の“僕”を、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」(2022年放送開始)でヒロインを務めることでも話題の黒島結菜が“彼女”役を、そして新入社員の“僕”の同期で後に親友となる尚人役を「ウルトラマンタイガ」(19)などの井上が演じている。なにものにも代えがたい自由を謳歌できる“人生のマジックアワー”と、社会人になって突き付けられる人生のリアルが交錯する青春映画だ。
「映画になることで、その場所が映像として一生残るのは感動」(カツセ)
――下北沢、明大前、高円寺と、半日かけて様々なロケ地を巡っていただきました。
井上「楽しかったですし、すでに撮影が懐かしいって気持ちになるものですね!」
――撮影は2021年の2月だったんですよね。今日久しぶりに巡ってみて、特に印象深かった場所は?
カツセ「僕は宮古2号店です。大学時代によく通っていた場所なので、まさかそこで映画を撮ってもらえるとは思っていなかったです。今回このような企画でそこに戻ってきてこうしてロケをしているのも、すごく不思議な感じがしています。映画になることでその場所が映像として一生残るというのも感動しますし、だいたいのものがいつかはなくなっていく世界で、あのカウンターで飲み交わすシーンはずっと残るんだって思うと、ちょっと涙ぐみそうになります。今日も久々に女将さんと話したら全然変わっていなくて、安心しました」
井上「僕も宮古2号店。宮古2号店で撮影した映画のシーンはすごく意味深いシーンだったので、一番印象に残っています」
松本「私はヴィレバンですかね。撮影では、商品を2012年当時のものに差し替えたりもして、時代を感じられる場所だと思っています」
カツセ「あと下北沢のザ・スズナリは、原作では本多劇場なんですよ。でも、劇中で“僕”と“彼女”が観劇し終わったあとに、ザ・スズナリから出て通りを歩くシーンはすごく印象的で。映画のほうがより“下北沢”って感じのするシーンになりましたね」
松本「ザ・スズナリの名前が入った電飾看板とか、ずっとあのままであってほしいですよね」(笑)」
カツセ「あの文字、超いいですよね!」
松本「一部、電気がつかないんですけど、それもまた味があって良くて。直さないでほしい(笑)」
――「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」とメールをもらった“僕”が、飲み会を抜け出して“彼女”と意気投合する大事なシーンで登場する「くじら公園」は、実際に松本監督が高校の通学路でよく通られていたと伺いました。
松本「そうなんです。ダンス部だったんですけど、よく放課後に皆で自主練したりしてました。で、疲れたらまさにあのくじらの遊具やベンチに座って駄弁るという」
――劇中では夜のシーンなので、昼間に来てみると、また印象が違いますね。いまは高円寺の「極楽屋」で皆さまにお話を伺っていますがここは、“僕”と“彼女”と尚人、3人での楽しい飲みのシーンでも登場します。
井上「まさにこの席で撮影したんですけど、そのシーンは同世代と普通に会話している感覚で、最初から最後までカメラが回っている時もいない時も同じようなテンションだったんです。それがすごく心地よくて、きっとその楽しさがレンズを通しても伝わっているんじゃないかなと思います」
カツセ「尚人が行きつけの店としてここの極楽屋を紹介するんですけど、その店が、めっちゃこじゃれた狭いカウンターだけの店とかだったら、多分“僕”と“彼女”は引いちゃうんですよ。そうではなくて、こういうオープンな店なんだっていうのがいいんですよね」
井上「そのお店のセレクトに、また尚人の人間味が出てきますよね」