下北の“ヴィレバン”、明大前の“くじら公園”…『明け方の若者たち』井上祐貴&カツセマサヒコ&松本監督がロケ地巡り!
「僕自身が“僕”と尚人に背中を押されて、諦めずに前に進んでいけるような生き方をしたいです」(井上)
――先ほどのマジックアワーのシーンもですが、特に好きなシーンを教えてください。
カツセ「主人公と“彼女”が風呂場で歯磨きしているシーンがすごく好きです。カップルが一緒にお風呂に入るシーンはほかの映画にもたくさんあると思うんですが、あのアングルで歯磨きしてて口から“ペッ”て出すシーンまで撮ってるのは、あまり見たことがなくて。あの“ペッ”を恥じらいなくできるってことは、そこまで2人が打ち解けた関係であることを証明していると思うんです。松本監督は長回ししてセリフの応酬をさせている時が、グッとくるシーン多いとも思います」
井上「僕は尚人のシーンではないんですけど、“僕”と“彼女”が『王将』を出て、さあここからどうする?というシーン」
カツセ「一番むずがゆいやつ(笑)」
井上「あの『どうする?』みたいな時間帯、あるじゃないですか(笑)。うわっ、いまからどうするこの2人みたいな。そこで“僕”なりに押すんですけど『朝まで一緒にいたいです』っていう言葉しか言えないっていうのを、最後まで観ればわかるんです。その一瞬の“僕”の迷いをすごく感じて、あそこはたまらなく好きなんですよね」
松本「私は、“僕”と尚人のバッティングセンターのシーンが好きです」
井上「バッティングの練習、めちゃくちゃしました(笑)!球技のなかで一番と言っていいくらい苦手というのもあったし、打ちながらセリフを言わなきゃいけなかったので大変でした。しかもあのシーンは核になるシーンのひとつだったりもするので」
松本「あと、バーで“僕”と尚人と同期の黒澤が、“エチエチ山手線ゲーム”をやるシーン。あのノリも良かったです」
井上「現場はまあまあカオスで、この作品で一番NGが出たシーンですよ!」
松本「やればやるだけ良くなっていったので、『もう一回』『もう一回』と」
井上「 一瞬“エチエチ”に聞こえるけど、よく考えたらそんなことないという言葉をテーマに山手線ゲームをやるんですけど、『いやそれ、完全に“エチエチ”じゃん!』っていう言葉を僕が言っちゃったんですよ。みんなから『それアウト!』って言われまして」
松本「現場が固まりましたよね(笑)」
――ロケ地はもちろん、いろんな楽しみ方が出来る作品です。お話も尽きませんが、どんなふうに観てもらいたいか最後にメッセージをお願いします。
カツセ「最初は恋愛映画のように思えて、次に青春映画のように思えて、最後に友情映画のように思えるっていうのが、この作品だと僕は思っています。その最後の気持ちで思い浮かんだ友達とかと、ずっと続くような関係であったらうれしいなと思うので、若い世代の人たちに見てもらいたいです」
井上「僕自身、特に“僕”と尚人に背中を押されて、どんなに理想通りにいかなくても、諦めずにちょっとずつでも前に進んでいけるような生き方をしたいなと思ったんです。正解のない、観る人それぞれに感じ方が違う作品だと思いますし、どの世代の方も共感してもらえる作品になっていると思います」
松本「好き、の気持ちを継続させるのって、すごいことだと思うんです。何かを堪らなく好きになるって面倒くさいし、しんどいことも傷つくこともあるけれど……それでも悪くないかも、と思ってもらえるキッカケになれば嬉しいです」
取材・文/富塚沙羅