『ドライブ・マイ・カー』の賞レース快進撃、オスカー攻略の鍵は“役者の生態”を描いたストーリーにあり?

コラム

『ドライブ・マイ・カー』の賞レース快進撃、オスカー攻略の鍵は“役者の生態”を描いたストーリーにあり?

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(公開中)の快進撃が続いている。2022年に入りアメリカの賞レースが活気付き始めたばかりのなか、第56回全米批評家協会賞で作品賞、主演男優賞(西島秀俊)、監督賞(『偶然と想像』も含めた受賞)、脚本賞の主要4部門を受賞した。

62年ぶりの快挙!濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』がゴールデン・グローブ賞受賞
62年ぶりの快挙!濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』がゴールデン・グローブ賞受賞[c]2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

続いて第79回ゴールデン・グローブ賞非英語映画部門を、ペドロ・アルモドバル監督の『Parallel Mothers』(21)やパオロ・ソレンティーノ監督の『The Hand of God』(21)、アスガー・ファルハディ監督の『A Hero』(21)、第74回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したユホ・クオスマネン監督の『Compartment No.6』(21)ら強豪と競い受賞している。

『ドライブ・マイ・カー』はカンヌ映画祭でグランプリを受賞の『Compartment No.6』ら強豪と競いGG賞を受賞
『ドライブ・マイ・カー』はカンヌ映画祭でグランプリを受賞の『Compartment No.6』ら強豪と競いGG賞を受賞写真:EVERETT/アフロ

『ドライブ・マイ・カー』は、2021年7月の第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、各国の映画祭を回り、徐々に評判を高めてきた。だが、アメリカの映画業界が3時間弱の外国語映画に食指を動かすかどうかは疑問視されていた。さらに今年は、先述の巨匠たちの新作や新進作家による話題作が数多く揃い、各賞外国語映画部門は激戦になることが安易に予想できた。

第56回全米批評家協会賞では監督賞を受賞した濱口竜介監督
第56回全米批評家協会賞では監督賞を受賞した濱口竜介監督[c]2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

2021年11月24日にNYとLAの2館で公開された本作は、2021年12月17日から全米27館まで拡大、1月10日現在は全米14館で公開中だ。公開6週目までにアメリカ国内で32万8721ドル(約3787万円)の興行成績をあげている。過去の日本映画と比較すると、『万引き家族』(18)は約57週間最大144館で公開され、最終興行成績は331万3513ドル(約3億8174万円)。第81回アカデミー賞外国語映画賞受賞の『おくりびと』(08)は約83週間最大27館の公開で、149万7853ドル(約1億7256万円)だった。


ちなみに第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、長編国際映画賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(19)は、約64週間最大2001館での公開で、5336万9749ドル(約61億4859万円)。パンデミックによる劇場閉鎖がなければ、さらに積み上げていたと考えられている。

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