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俳優に監督、評論家らの言葉から読み解く『真夜中乙女戦争』の魅力。「この映画は、若者たちを刺激し、大人たちを挑発する」

コラム

俳優に監督、評論家らの言葉から読み解く『真夜中乙女戦争』の魅力。「この映画は、若者たちを刺激し、大人たちを挑発する」

せつなくも美しい。孤独な若者に寄り添った映像世界

脚本と編集も手掛けた二宮監督といえば、自身で製作した『眠れる美女の限界』(13)を自らリメイクした『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY-リミット・ オブ・スリーピング ビューティ』(17)をはじめ、現在30歳にして話題作を立て続けに発表してきた、今後の活躍が期待される監督の一人。女優の松本穂香が、「壊れていく世界の中で、徐々に人間味を帯びていく“私”の目が好きでした。あなたがいて、私がいる。そのことだけがどうしようもなくリアルで、美しかった。二宮さんの唯一無二の世界観。やっぱり好きです!」とコメントしているように、独自の映像センスで数多くのファンを獲得してきた。

“真夜中乙女戦争”という名の東京破壊計画が実行されようとしている
“真夜中乙女戦争”という名の東京破壊計画が実行されようとしている[c]「2021」真夜中乙女戦争

映画・音楽ジャーナリストの宇野維正も、そんな二宮監督の才能を高く評価。「岡崎京子ワールドを現代に蘇らせてみたり、とんかつDJでアゲてみたり、これまでムチャなことばかりしてきた二宮健監督がまたしても。2020年代東京で『ファイト・クラブ』スピリットを引き継ぐという無謀な試み。でも、恋愛パートの切なさは本物でした。最後のビリー・アイリッシュはズルい(笑)」と本作を分析している。

ほかにも映像や演出面を絶賛する声は多く、映画ライターのSYOが、「カッコ悪いものなんて、死んでも映さない――。そんな熱意と衝動が、画面の端々で蠢いていた。この映画は、若者たちを刺激し、大人たちを挑発する」と説明。映画評論家のくれい響も「ルール、その1。『真夜中乙女戦争』について口にするな。これまでになく、妖しげな池田エライザ。これまでになく、不気味な柄本佑。そんな2人に挟まれ、危うさに溺れていく、これまで見たことのない永瀬廉。彼らのアンサンブルと二宮健監督のブッ飛んだセンスが、“トーキョー・ファイトクラブ・ストーリー”を生み出した!」といった力強い映画評を送っている。

“黒服”の下に、彼の考えに賛同する者たちが次々と集まり、その言動も激化していく
“黒服”の下に、彼の考えに賛同する者たちが次々と集まり、その言動も激化していく[c]「2021」真夜中乙女戦争

スタイリッシュな映像世界のなかで、抑圧された若者たちの感情の機微をエモーショナルに表現した『真夜中乙女戦争』。東京の崩壊が迫るなかで、前を向き始めた“私”が下す決断とは?その答えをスクリーンで確かめてほしい。

構成・文/サンクレイオ翼

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