そこまで再現!?プレイヤーにこそ観てほしい、新たな映画「バイオハザード」の幕開け
巨大製薬会社の実験によって産みだされたゾンビやモンスターが蔓延る建物や街から脱出する手段と、事件の謎を探求する「サバイバルホラー」というゲームジャンルを生みだし、現在までナンバリングがついたシリーズが8作発表されている人気ゲーム「バイオハザード」。1996年にゲームの1作目が発売となり、2021年にはリリースから25周年を迎えた。そのタイミングに合わせて、原点回帰的な意味合いを持って製作された映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』が1月28日より公開中だ。「海底47m」シリーズのヨハネス・ロバーツ監督がメガホンをとった本作は、これまでの映画「バイオハザード」と異なるポイント、ゲーム版のどのストーリーを表現しているのかを解説していきたい。
これまでも映像化を繰り返してきた人気作「バイオハザード」
これまで「バイオハザード」シリーズは、ご存知の通り、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で映画化され大ヒットを記録し、6作品にもおよぶシリーズとして製作されてきた。映画版では、ジョヴォヴィッチ演じるオリジナルキャラクターであるアリスを主人公に、ゲームの基本設定を活かしつつ、時にはゲームのキャラクターたちをゲスト的に登場させる形で展開してきたが、ストーリー的にはゲーム版とは異なるものだった。そのほか日本国内では『バイオハザード ディジェネレーション』(08)をはじめとした、ゲームのスピンオフ的なエピソードをハイクオリティなCGアニメーションで見せるシリーズも4作品が映像化されている。
このように、ゲームの持つホラー要素とアクション性、そしてアドベンチャー的な魅力から、「バイオハザード」シリーズは多数の映像作品を生みだしてきた。しかしその一方で、ファンが慣れ親しんできた原点であるゲーム版のストーリーを基にした映像化は行われることがなかった。そんななか、ゲーム発売25周年に合わせて発表されたのが、シリーズ第1作の「バイオハザード」(以下、「バイオ1」)とシリーズ第2作の「バイオハザード2」(以下、「バイオ2」)をベースにした映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』だったのだ。
自身の選択で、ある都市に隠された秘密に迫っていくゲーム版
『~ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』の解説の前に、改めてゲーム版のストーリーを振り返っていこう。
1作目「バイオ1」の舞台となるのは、1998年の夏。アメリカ中西部の地方都市ラクーンシティでは、住人たちが食い殺されるという猟奇殺人事件が発生していた。この調査のために、特殊部隊“S.T.A.R.S.”が派遣されるが、先行したブラヴォーチームの消息が途絶える。ブラヴォーチーム捜索のため、クリス・レッドフィールド、ジル・バレンタインらが所属するアルファチームが現地に向かうことに。現場では墜落した仲間のヘリの残骸を見つけるも、異様な野犬の群れに追われたアルファチームは、森の中に立つ洋館へと足を踏み入れる。
その館は迷路のように入り組んだ構造で、様々な仕掛けが施され鍵がかけられた部屋が配置され、さらに多数のゾンビが徘徊していた。館の内部に残されたいくつもの資料から、ここで秘密裏に研究されたウイルスが漏れ出し、大量のゾンビが生みだされる事故が起こっていたことが判明。クリスたちは館の中を捜索し、事件の真実と自分たちが生き残る道を探すことになる。
そして、「バイオ1」の発売から2年後の1988年には、待望の続編である「バイオ2」が発売。クリスの妹であるクレア・レッドフィールドと、ラクーンシティ警察署へ赴任した新人警官レオン・S・ケネディが主人公となり、「バイオ1」の舞台となった洋館の近くにある街、ラクーンシティと警察署内部を探索することになる。前作の洋館事件は無事解決したものの、その事実は公表されず隠蔽されたまま2か月が経過。再び、ラクーンシティでは突如奇病に冒された者が人間を襲撃する事件が発生し、さらに怪物の目撃情報が相次ぐように。そんななか、同じタイミングでラクーンシティを訪れたクレアとレオンは、ゾンビであふれかえる街と奇妙な仕掛けが施された警察署内部で事件の真相を探るべく行動を開始する。