『デスノート』以来の藤原竜也×松山ケンイチ再タッグ『ノイズ』、大人気サバイバルホラーゲームの実写版最新作『バイオハザード』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、大人気同名ゲームを新たに映像化したサバイバルホラー、藤原竜也&松山ケンイチ&神木隆之介の共演で描くサスペンス、対立する二つの地域の若者たちが音楽を通じてつながる様子を描くドラマの、ドキドキする3本!
島民たちの島を守りたいという純粋な気持ちが狂気へと変わる…『ノイズ』(公開中)
藤原竜也と松山ケンイチが、『デスノート』(06)以来15年ぶりにガチで共演した社会派サスペンス。過疎化が進む孤島を新たな名産品“黒イチジク”で再生させようとする圭太(藤原)と親友の純(松山)、二人を慕う新米警察官(神木)が起こした殺人の隠蔽が新たな悲劇を次々に生み、島民たちも巻き込む異常な状況を作り上げていく展開が怖い!島民たちの島を守りたいという純粋な気持ちが狂気へと変わり、暴走していくさまも閉塞した小さなコミュニティでは起こりがちな集団心理で生々しさを強調。しかも、町長役の余貴美子、長老役の柄本明、ベテラン刑事役の永瀬正敏などなど、個性的な島民をひと癖もふた癖もある俳優陣が演じ、それぞれの役の思惑を他者に負けない圧倒的な芝居で表現する二重構造になっているのだからたまらない!島民の誰がなにを企み、どの役者がどこでなにを仕掛けるか?そして殺人の隠蔽をリークしたのは誰で、圭太たちはどうなってしまうのか?現実と地続きの小さな問題を、エンタテインメントに昇華させたのは、『ヴァイブレータ』(03)、『彼女の人生は間違いじゃない』(17)の廣木隆一監督。最後の最後まで目が離せない。(ライター・イソガイマサト)
じわじわと迫り来るゾンビや怪物たちの圧をじっくりと描く…『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(公開中)
25年以上にわたってファンを戦慄させてきた傑作ホラーゲーム「バイオハザード」を原作にするサバイバルホラー。巨大企業アンブレラ社の拠点であるラクーンシティで育ったクレアは、街の異変を知らされ兄が暮らす故郷へと舞い戻る。同タイトルの映画化といえばミラ・ジョヴォヴィッチ主演シリーズが思い浮かぶが、SFアクションに振り切ったミラ版に対し今作はゲームに沿った純ホラー。ウィルスの蔓延により崩壊が迫るラクーンシティからのスリリングな脱出劇が描かれる。嬉しいのはショック重視の絶叫系ではなく、じわじわと迫り来るゾンビや怪物たちの圧をじっくりと描くその姿勢。不穏な空気感や画作りなど雰囲気で背筋を凍らせる正攻法のスタイルは、過剰な刺激で押しまくるホラーを見慣れた目にはとても新鮮だ。華のない男性キャラに対し、「メイズ・ランナー」シリーズのヒロイン役でブレイクしたカヤ・スコデラリオ、『アントマン&ワスプ』(18)でゴーストを演じたハナ・ジョン=カーメンが演じる、二人のヒロインの腕っ節にもご注目を!(映画ライター・神武団四郎)
「ボレロ」が、劇中で持つ意味も含め忘れがたいインパクトを残す…『クレッシェンド 音楽の架け橋』(公開中)
パレスチナとイスラエルの問題の根深さは、これまで多くの映画で語られてきたが、「音楽」の力が感動を起こすのが本作の魅力だ。世界的指揮者のスポルク(ペーター・シモニシェック)が提案したのは、パレスチナとイスラエル、双方から若い音楽家を集め、オーケストラを作ること。オーディションに行くにも検問を受けるなど“対立”による過酷な日常がリアルに描かれつつ、オーケストラが結成され、練習が始まると、物語はさらにドラマチックに展開。食事も一緒にせず、ちょっとした行き違いで罵りあう、両陣営の本心からの憎しみに胸を締めつけられる。しかし観ている我々も、そしてオーケストラのメンバーにも陶酔感、高揚感を与えるのが演奏シーン。理論ではなく、感覚で「世界がひとつになる」喜びを届ける。いくつもの名曲が使われるが、ラヴェルの「ボレロ」が、劇中における意味も含めて、忘れがたいインパクトを残す。(映画ライター・斉藤博昭)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼