“マッツ愛”が試される!?アナス・トマス・イェンセン×マッツ・ミケルセン作品の不思議な魅力とヤバさ
気心知れた“イェンセン・ファミリー”との撮影に臨むこと
絶妙な間合いと空気感で笑わせてくれる本作だが、ミケルセン以外にも常連俳優が出演している。オットー役のニコライ・リー・コースはラース・フォン・トリアー作品や『天使と悪魔』(09)にも参加してきたデンマークの人気俳優で、『ブレイカウェイ』『フレッシュ・デリ』『アダムズ・アップル』『メン&チキン』に出演とこちらも皆勤(『しあわせな孤独』にも出演)。また、エメンタール役のニコラス・ブロも『アダムズ・アップル』や『メン&チキン』で強烈なインパクトを残してきた。ちなみに、マークスの娘、マチルデ(アンドレア・ハイク・ガデベルグ)の恋人、シリウスを演じるアルバト・ルズべク・リンハートは『アナザーラウンド』にも試験を前に緊張してパニックになる生徒役で登場している。
気心知れた仲間との撮影についてミケルセンは、「悪いほうに行く危険もあるから気をつけています」と注意を払いつつ、「ファミリーと一緒なら知らない人と一緒では行けないところまであえて挑戦します」とコメント。
「なにか失敗してしまった時、失敗するのは嫌ですが時には避けられないものです。でも彼らと一緒なら失敗も怖くありません。みんなで一緒に笑えるからです。バカにして笑うのではなく、笑い飛ばすことができるので、おかげでより大胆になれます」と、“ファミリー”での撮影ならでは強みを明かしている。
日本では劇場未公開の作品が多いイェンセン作品において、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』は大きなスクリーンで観られる貴重なチャンス。これまでの監督作と比べても、ストーリーはわかりやすく、登場人物も共感しやすいキャラクターになっているので入門編にオススメだ。ハードでシリアスなのに、どこかゆるい。イェンセンとミケルセンらが生みだす不思議な世界観を堪能してほしい。
文/平尾嘉浩