50周年でさらにパワーアップ!「ルパン三世 PART6」は“次元大介”と、豪華作家陣の参戦に注目
ロンドンを舞台に「ルパン三世」の“新章”の幕が上がる!
そして、お待ちかねの第1話「シャーロック・ホームズ登場」からは本格的に“新章”が始まり、大塚明夫が務める“二代目・次元大介”の声がお披露目。
ロンドンの街で繰り広げられるカーチェイスシーンでド派手に登場する次元。どこか懐かしさを覚える声色で、次元大介というキャラクターの魅力が守られていることがすぐに見てとれるだろう。そして次々と集結するルパン一味に、ルパンを追ってロンドンまでやってくる銭形。さらにシャーロック・ホームズや物語のカギを握る少女リリーにスコットランド・ヤードのレストレード警部。おなじみのキャラクターたちと新たな登場人物たちが入り混じることで、ここから始まる“新章”への期待感を一気に高めてくれる好エピソードに仕上がっている。
声優交代発表の際には、「次元大介はもはや清志さんそのものだと思っています。次元大介から清志さんじゃない声が聞こえてきたらイヤです。だからこそ、そんな自分さえも納得させうる次元大介になろうと勝手ながら心に決めました」と語っていた大塚。インタビューなどでも単なる声優の交代ではなく、小林が築きあげてきた次元というキャラクターのイメージをしっかりと次世代へと継承することを宣言していた。そしてその決意がにじんだ名演は、間違いなく本作のルパンファミリーを新たな魅力にまで昇華しているのだ。
豪華作家陣が夢の参戦!“押井ルパン”は、映画ファンも必見の小ネタが満載
シリーズ構成の大倉が脚本を手掛けるメインストーリーでは、ルパン三世とシャーロック・ホームズの攻防が描かれていくわけだが、その合間にはオムニバスエピソードとして豪華ゲスト脚本家によるエピソードが展開していく。参加しているのはアニメ脚本家としても知られる推理作家界の大御所、辻真先をはじめ、芦辺拓や樋口明雄、「告白」や「夜行観覧車」など多くの著作が映像化されている湊かなえらベストセラー作家たち。そして極めつけは『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)などで知られるアニメ界の巨匠・押井守と、まさに錚々たる顔ぶれ。
なかでもやはり注目すべきは、押井が手掛けた第4話だろう。寂れたダイナーにやってきた2人の男とウェイトレスのウィットに富んだ会話を中心に、店内にいる大勢の殺し屋たちの無言の圧が画面いっぱいに漂う。誰一人としてルパンファミリーが登場しない異色なAパートから、物語が一気に動きだすBパートへの見事な転換。ヘミングウェイやアキ・カウリスマキ、アンジェイ・ズラウスキーといった映画ファンなら思わず反応してしまいそうな名前も登場し、どこかクエンティン・タランティーノ作品を彷彿とさせる空気感も魅力的で、放送後にはSNS上で考察が白熱した展開も流石の一言だ。
「まさか、またルパンに関わるとは夢にも思っていませんでした」とシリーズ初参加についての感慨を語る押井。また「シリーズ構成の大倉さんが、好きに書いてくださいと言ってくれたので好きに書かせてもらいました」とも明かしており、その言葉通り、第4話に続いて脚本を手掛けた第10話「ダーウィンの鳥」でもこれまでの「ルパン三世」とは一線を画す独自の押井ワールドを展開。ファン待望の“押井ルパン”をとくと目に焼き付けてほしい。
押井をはじめ、湊や芦辺など、それぞれの脚本家が<ミステリー>というキーワードに合わせ、各自のスタイルを「ルパン三世」の世界へと持ち込んでいく。それによって作品としての奥行きは格段に広がり、これまでの「ルパン三世」の常識を覆えすようなまったく新しい雰囲気を生みだしている。この自由闊達な世界観こそが、この「PART6」最大の持ち味ではないだろうか。