『HOMESTAY』はただの青春映画ではない!?映画ファンが語る、どの世代にも観てほしいポイントとは
キャスト陣の力演のあまり、ツッコミたくなるシーンも!?
田中「映画初主演の長尾さんは、置かれた状況が飲み込めず、オロオロしている感じのシロに合っていましたよね。わからない、どうしようと不安になりつつも、先輩といい関係になると浮かれちゃったりして。100日の期限付きで命が懸かった状況なのに、『なりゆきで』みたいなのん気さがありますよね」
浦山「『もう1週間経ったよ!』ってツッコミたくなりました」
田中「あの状況でも楽しいことは楽しいってなれるところがかわいらしいですよね」
佐藤「真の時の弱々しさ、シロの時の奔放さをすごくうまく表現していると思いました。明らかに怪訝な顔をされてるのに『なんですか〜?』みたいな雰囲気を出せるルックスも相まってよかったと思います。一方で女の子2人の危うい感じがすごくいい!真への想いが届かずもどかしい表情を見せる晶のことは応援したくなるし、真とすごく仲良くしている美月先輩の、思わせぶりな態度からの急に突き放すような行動には『違うんかい!』と言いたくなるし(笑)。美月先輩が、自分が好きな子に秘密を知られて焦る感じとか、すごく伝わってきました」
田中「瀬田監督はインタビューでも、山田さんのせつない表情が“推しポイント”とおっしゃっていました。どうしようもない感でいっぱいの山田さんの表情を見ると、寄り添ってあげたくなる。なんで彼女の気持ちに気づかないんだよ、って言いたくなるけれど、10代ってそういうもんだよね、と思う自分もいたりして。個人的には管理人役の濱田岳さんもおもしろかったです。原作では天使という設定なんですが、この設定も新しい『カラフル』として映画を楽しめた大きなポイントでした」
佐藤「最初は濱田さんですが、管理人は現れるたびに別の人になっているので、途中から次は誰になって出てくるんだろう、そろそろくるかなと期待しちゃって。ゲームをしているような感覚でした」
主観で生きていた、自分の青春時代を清算するドラマ
浦山「ずっと真夜中でいいのに。の主題歌『袖のキルト』も、若い子に刺さりそうですよね。真が周りの人のことが見えずに、自分だけの世界を作ってしまっている感じとマッチしているなと思いました」
田中「心のなかでしゃべっているような歌詞ですよね。口には出さないけれど、心のなかには言いたいことがたくさんあると訴えているようにも聞こえます」
佐藤「主人公の揺れる感じ、シロではなく真の目線で置かれた状況の難しさをうまく書いていると思いました。一番最初のフレーズとか、大人の私でもグッときます」
田中「自分のこともわからないのに、周りのことなんかわかるわけない。その余裕のなさがうまく表現されていて、不安定な時期を過ごす若い世代に、寄り添っている印象がありますよね」
佐藤「主題歌も映画も全体的に真の目線で描かれていると思いました。真のバイアスがかかった状態で彼が見ている世界は『僕だけがつらい状況』として描かれる。実際彼の周りはひどいと感じることばかりではあるけど、ちゃんと見ると意外とそうでもなかったりするので、“僕だけ”、“僕の世界は”としてしまうところが振り切っていておもしろく感じました」
田中「実際はそうじゃないけれど、10代の世界はそういうもの、そんなふうに見えるもの。原作でおもしろいと思った要素が映画に残っていてよかったです」
佐藤「完全に主観で生きていますよね(笑)。若いころの記憶って、大事だと思っていたことも、振り返ってみたらそうでもないってことも意外と多いですし」
田中「自分の記憶とほかの人の記憶に違いがあるなんて“あるある”じゃないかな。思い出が修正され、上書きされた経験ありませんか?それこそ、成人式や同窓会で」
佐藤「あります。そういう意味でも大人に観てほしい。自分で思っていた記憶と現実の違いに気づく作品なのかもしれないですね。過去の清算もできたりして」
浦山「思い出が正しく修正されることで、行き違いのあった人と仲直りもできたり」
田中「勘違いも若さのうちってことで、笑って流しちゃえばいい。笑える内容限定ですが」
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