北村匠海、“父親”阿部寛の背中に「毎日全力でぶつかった!」少年時代の写真も披露
重松清の同名小説を映画化した『とんび』(4月8日公開)の完成披露舞台挨拶が2月17日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、阿部寛、北村匠海、薬師丸ひろ子、杏、安田顕、大島優子、麻生久美子、瀬々敬久監督が登壇。阿部が息子役を演じた北村について、「とんびが鷹を生んだという」と優秀な息子だと語り、「(一緒に)取材を受けていてもびっくりするんですが、僕がカタコトで言ったものをサッと全部まとめてくれる。父親想い。鷹だなと思う」とにっこり。北村も「阿部さんの胸に飛び込んでいく毎日だった。父だなと思った。大きい背中でした」と明かすなど、相思相愛の想いを語った。
『護られなかった者たちへ』(21)の瀬々監督と『宮本から君へ』(19)の脚本家・港岳彦がタッグを組んだ本作。主人公の破天荒ながら愛すべき父・ヤスを阿部、ヤスの息子・アキラを北村が演じ、いつの世も変わらない親子の絆を描く。
映画化されるという企画が上がった時に、阿部は自ら瀬々監督にラブコールを送ったという。阿部は「過去にも映像化されているのですごく悩んだんです。瀬々さんだったらやらせていただきたいと思った。瀬々さんだったらきっとまた違った切り口から、やってくださると思ってラブコールさせていただいた」と監督への並々ならぬ信頼感を吐露していた。
不器用な男・ヤスを演じた阿部は「常に温度が高い。街全体をかき回していくような役」と役柄を分析し、「エネルギーというものは失ってはいけない。現場では、それを大事していた」と熱量をたっぷり注ぎ込んだという。北村は「阿部さんの胸に飛び込んでいく毎日だった」と親子役での共演を振り返り、「熱量やヤスとしての愛情を肌で感じた。毎日全力でぶつかりにいった」と充実の表情を浮かべていた。
また「ヤスがお酒を吹きだすシーンが印象深い」という北村は、「本当にすごいなと。言葉が悪いかもしれないですが、『正気か、この人』と思った」と語ると周囲も大笑い。「阿部さんがとても度数の高い、本当のお酒を用意されていて…。アルコールを出したほうが消毒もされていいだろうという、阿部さんの配慮もあって。お酒というよりか、燃料みたいなアルコールだった。役者魂を感じました」と続けると、阿部は「90度と70度のお酒をブレンドしてやった」と話して会場を驚かせていた。
また”家族の物語”が描かれることにちなみ、自身の家族写真とともに写真にまつわる家族エピソードを披露するひと幕も。阿部は、父親が撮ってくれたという家族写真を披露し、「子ども時代よりもいまのほうが、なんでも親父に聞いたりする。ありがたい」としみじみ。北村は「父の趣味が釣り」と口火を切り、磯遊びをしている少年時代の写真を紹介した。「僕の名前は“匠海”と“海”の字がついている。父が釣り好きだったから。一説では、“匠海”にするか、“鯉太郎”という名前にするかで迷っていたらしい」と笑いながら、「本当に趣味趣向が合う。いまとなってはよき飲み仲間」と最高の関係だと話していた。
取材・文/成田おり枝