「並外れた美しさと小悪魔性」ガル・ガドットが『ナイル殺人事件』で体現した、資産家令嬢の魅力
全世界興収3億5000万ドルを超える大ヒットを記録した『オリエント急行殺人事件』(17)に続き、ケネス・ブラナーが名探偵エルキュール・ポアロ役を演じ自らメガホンをとる『ナイル殺人事件』(公開中)。本作の物語のカギを握るのは、ガル・ガドット演じる大富豪の娘リネット。その役柄の魅力について語るガドットやブラナーらのコメントが到着した。
“ミステリの女王”アガサ・クリスティの「名探偵ポアロ」シリーズのなかでも屈指の人気を誇る「ナイルに死す」を映画化した本作。舞台は神秘の国エジプトのナイル川を往く豪華客船。ポアロは莫大な資産を持つ大富豪の娘リネットに招かれ豪華客船に乗っていた。リネットはサイモンと新婚旅行に訪れ、ふたりの結婚を祝うため友人らが集まり船内はお祝いムード一色。しかしある晩、突如として悲鳴が響き渡り第一の殺人が発生。その被害者となったのは幸せの絶頂を迎えるはずだったリネットだった。
イスラエルでキャリアをスタートさせ『ワイルド・スピード MAX』(09)でハリウッドデビューを果たしたガドットは、『ワンダーウーマン』(17)をはじめとしたDCエクステンデッド・ユニバース作品のワンダーウーマン役で大ブレイク。高い身体能力も相まって、いまやハリウッドを代表するアクション映画女優へと成長を遂げた。そんな彼女は、これまで演じてきた役柄とはタイプの異なるリネットという役柄に心酔したようだ。
大富豪一族の相続人であり、誰もが羨むほどの美貌の持ち主。その一方で、真の愛を知らずに生きてきたという寂しげな一面を持ち、このほんの小さな“弱さ”が彼女をさらなる不幸へと陥れていく。「彼女はとても自己中心的だけれど、同時に深い心の持ち主でもあります。ずっと自分のやり方を押し通すことに慣れていながら、一番上に立つことは孤独でもあります。ですから、彼女の心には大きな穴が空いているのです」と、ガドットはリネットの内面を紐解いていく。
劇中では“第一の被害者”として、そして“愛欲”という本作のテーマを体現する存在として重要な役割を担うリネット。その複雑な内面を理解し見事に演じ切ったガドットを、ブラナー監督は「並外れた美しさと輝き、思いやりやちょっと小悪魔なところなど、リネット役に必要なすべてをガルのなかに見出していました。彼女はすばらしく、あの役柄と同じくらいのカラフルさと深みを持ち合わせているのです」と大絶賛。
また製作のジュディ・ホフランドも「彼女はあの役柄に私たちさえも予想していなかったものを吹き込みました。とても心をオープンにして演じてくれたので、観客は彼女のことを好きにならずにいられなくなってしまうでしょう」とコメント。さらにアカデミー賞に4度ノミネートされた経験のある大女優アネット・ベニングも、「彼女のことは本作の前から知っていたけれど、ガルでありワンダーウーマンでもあって、明るくてとても楽しくすばらしい人物です」とガドットの素顔を振り返った。
周囲から羨望と嫉妬の眼差しを浴びながら、その裏で孤独に耐えながら生きてきたリネットをガドットはどのように演じているのか。その妙演に注目しながら、豪華客船内で巻き起こる極上のミステリークルーズに身を委ねてみてほしい。
文/久保田 和馬