アカデミー賞10部門ノミネート『DUNE/デューン 砂の惑星』のスゴさがまるわかり!パッケージ特典映像から解説
CGに頼らない大規模なロケやサンドワームを生みだした視覚効果
本作は技術部門の多くでもアカデミー賞ノミネートを果たしているが、特典映像ではそれらの背景にも言及。例えば、原作に忠実に、時間をかけて作られたセット。アラキスの宮殿内部をはじめとする壮大なセットに、ヴィルヌーヴ監督は撮影時、大いにインスピレーションを得たという。古代風でなおかつ未来的でもある、そのたたずまいに触れたなら、美術賞にノミネートされたのも納得がいくだろう。
アラキスの景色は多くがヨルダンで撮影されているが、砂の惑星の雄大さを表現したカメラワークもすばらしく、こちらも撮影賞ノミネートのお墨付きを得た。また、砂漠の地下に棲息する巨大なクリーチャー、サンドワームの描写は、まず視覚効果がお見事。生物学を考慮しながら、実際に存在する生き物のように見せつつ、その巨体が砂の中を移動する際の砂漠のうねりをリアルにビジュアル化してみせる。さらにサンドワームの動きによって生じる音の設計も計算されており、音響チームの工夫がうかがえる。ちなみに、音響は通常は編集後に加えられるが、本作における音の重要性を見抜いたヴィルヌーヴ監督の意向もあり、本作では撮影と同時進行で編集が行なわれ、それに併せて音響も作られていったとのことだ。
巨匠ハンス・ジマーによる聞いたことがない壮大な音楽
一方、原作の大ファンだったという作曲家のジマーは、本作を独特のものにするため、管弦などの西洋楽器を極力避けて新しい楽器を制作。さらに独自の言語を作ってそれを歌手たちに歌わせるなどの工夫により、これまでにないスコアを生みだした。これら高いレベルでの技術融合によって誕生した『DUNE/デューン 砂の惑星』は、4K視聴可能な環境がある方なら、全9種のキャラクターカードセットも付属する、4K Blu-rayで視聴してみてほしいとヴィルヌーヴ監督本人がコメントしている。「ご自宅でご覧いただくのであれば、フォーマットは断然4Kがおすすめ。この作品は、原作と同じように正確性にこだわることを大事にしました。4Kシステムの持つ正確性があれば、ご自宅でも、より劇場体験に近い形で楽しんでもらえるのではないかと思います」。映像だけでなく、音の細部にまでヴィルヌーヴ監督がこだわった壮大な世界観を隅々までじっくり味わえるはずだ。
世界中で大ヒットを飛ばしたことにより、すでに続編の製作も決定。ヴィルヌーヴ監督はもちろん、主要スタッフ&キャストも再結集する予定で、2023年の公開を目指してプロジェクトが進行している。アカデミー賞ノミネートにより、ますますその動向が注目されるが、まずは本作をパッケージで味わい尽くそう。
文/有馬楽
発売中
価格:7,990円(税込)、4,980円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント