【第94回アカデミー賞】女性監督で史上3人目!監督賞は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン
現地時間3月27日(日本時間3月28日)に開催中の第94回アカデミー賞授賞式。監督賞はNetflixオリジナル映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオンに輝いた。12年ぶりの監督作で、女性監督としては史上3人目の受賞となった。
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、『ピアノ・レッスン』(93)で女性監督として初のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したカンピオン監督による最新作。トーマス・サヴェージの同名小説を映画化したもので、1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台に、ベネディクト・カンバーバッチ扮する威圧的だがカリスマ性に満ちた牧場主が、弟の新妻とその息子である青年に対して冷酷な敵意をむき出しにしていく姿を描く。キルスティン・ダンスト、ジェシー・プレモンス、コディ・スミット=マクフィーらが出演。
アカデミー賞で女性監督が監督賞を受賞するのは、『ハートロッカー』(08)のキャサリン・ビグロー、『ノマドランド』(20)のクロエ・ジャオに続いて、史上3人目。カンピオン監督は「ケビンさん、ドラマチックな紹介をありがとう」とプレゼンダーのケビン・コスナーの顔を見てにっこり。キャストやスタッフのたくさんの名前をあげながら「きちんとこのストーリーの深さを理解し、みんながチャレンジして果敢に挑んだ」と感謝を伝え、「クルー全員が心を注いだ。すばらしいチームの皆さんが心を注いでくれた。故郷、家族、パートナー。本当にたくさんの励ましをありがとう」と喜びをあふれさせつつ、トーマス・サヴェージにも敬意を評していた。
ジェーン・カンピオンは1954年生まれ、ニュージーランドのウェリントン出身。オーストラリアのビクトリア大学とシドニー・カレッジ・オブ・アートを卒業。80年代初頭から映画制作を始め、1982年に発表した『ピール』でカンヌ国際映画祭短編映画部門パルム・ドールを受賞。『スウィーティー』(89)で長編映画監督デビューし、その翌年には『エンジェル・アット・マイ・テーブル』(90)がヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞。
ひとりの女と2人の男が1台のピアノを媒介にして展開する『ピアノ・レッスン』で(93)で女性監督で初のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、第94回アカデミー賞で作品賞や監督賞、脚色賞など最多11部門12ノミネートを達成。第78回ベネチア映画祭で銀獅子賞(監督賞)に輝き、第79回ゴールデン・グローブ賞では、ドラマ部門作品賞、監督賞、助演男優賞(コディ・スミット=マクフィー)の3冠を獲得している。
文/成田おり枝