阿部寛が、息子の悲しみをのみ込む海になることを決意…『とんび』4分30秒の感涙本編を先行公開
重松清による不朽の名作を、瀬々敬久監督が阿部寛、北村匠海の共演で映画化した『とんび』(4月8日公開)。本作より、本編の感動シーン映像が解禁となった。
原作は、幾度途切れても必ずつながってゆく親子の絆を描く、重松清による不朽の名作小説「とんび」。今回が初の映画化となり、破天荒ながら愛すべき父ヤスを阿部が、ヤスの息子アキラを北村がそれぞれ演じるほか、薬師丸ひろ子、杏、安田顕、大島優子、麻生久美子らが脇を固める家族の絆の物語を描く。
今回解禁された映像は、ヤスが妻、美佐子(麻生)の死を受け入れ、幼いアキラとともに生きる決心をする4分30秒ほどのシーン。アキラが3歳になったある日、美佐子は事故で帰らぬ人に。突然2人きりの暮らしとなるも、2人は街の人々に支えられていく。しかし、未だ悲しみ癒えぬヤスは、ある夜、幼なじみの照雲(安田)の父、海雲(麿赤兒)に「わしみたいなもんは生まれてこんかったらよかったんじゃ」と、ぶつけようのない悲しみを吐露する。
それを聞いた海雲は、ヤスとアキラ、そして照雲を連れ、雪の降る瀬戸内の夜の海へ向かう。寒さが沁みるなか、アキラにかけていた毛布を取らせ「アキラ、お父さんにもっとしっかり抱いてもらえ。顔と腹は温いだろう。それでも背中は寒い。お母ちゃんがおったら背中を抱いてくれた」と、その寒さを背負うことに例え、母親を亡くしたアキラの運命を諭す。そして照雲とともにアキラの背に手を当て、自分たちのように、母の代わりに愛してくれる人が大勢いることを優しく伝える。
さらに海雲は、ヤスに「海は、なんぼ雪が降っても、知らん顔して黙って呑み込んどるわ。アキラに悲しみを降らすな。ヤス、お前は海になれ。お前は海にならんといけん」と、愛のある言葉を向ける。ヤスは、その言葉を、悲しみと決意に満ちた涙を流しながら受け入れていく。
「とんび」の原作ファンや、過去に2度映像化されたドラマファンからも人気の高いこのシーン。不器用ながらも懸命に生きていく父子には、どのような未来が待っているのか。ぜひスクリーンで確かめてほしい。
文/サンクレイオ翼