芦田愛菜と原作者・鶴谷香央理が語り合う、『メタモルフォーゼの縁側』が体現した「好き」への想い
「芦田さんの感情を表現している背中がとても好きでした」(鶴谷)
――芦田さんが演じたうららをご覧になった感想を教えてください。
芦田「なんか、ちょっと恥ずかしい(笑)」
鶴谷「とてもすてきでした。印象的だったのは走るシーンです。おそらく、意識的にたくさん作ってくださったと思うのですが、芦田さんが走る後ろ姿が何度も映って、すごく感情を表現されていて、その背中がとても好きでした」
芦田「結構、走りました(笑)」
鶴谷「暑そうだな、大変そうだなと思いながら観ていました。漫画ではモノローグをたくさん使っていますが、映像ではナレーションやモノローグでそのまま説明すればいいわけではないと思うんです。だから映像にする際の工夫として、言葉のない感情表現を作ってくださったのだと感じました。芦田さんをはじめ、俳優さんたちのすごさをたくさん観ることができて、心から感動しました」
芦田「すごくうれしいお言葉です。“走る”にもいろいろな意味があって、急いでいるだけの時もあれば、早く雪さんに会いたいという気持ちで走っている時もあります。その場から逃げだしたくて走る時もあれば、うれしくて思わず走ってしまう時も」
――『阪急電車 片道15分の奇跡』(11)以来、約10年ぶりの宮本さんとの共演はいかがでしたか?
芦田「撮影に入る時に『頼りにしてるわよ』という言葉をかけてくださったことはすごくうれしかったです。うららと雪の関係性がどんどん深まっているなかで、演じる私自身も勝手ながらですけれど、宮本さんに包み込んでいただいているような気持ちになって。頭で考えてお芝居をするのではなく、自然にお芝居を引きだしていただきました。自分のなかからあふれてくるもので表現できたので、一緒にお芝居するのが本当に楽しかったです」
――劇中の雪さんのように、宮本さんのなかに発見した意外な顔はありましたか?
芦田「雨が降って濡れてしまう、というシーンの撮影の時に『次、雨のシーンですね』と声をかけたら、『あら、楽しそうね』とちょっと無邪気に微笑んでいらっしゃって。私も水遊びとかワイワイするのが好きなほうなので、密かに親近感を抱いていました(笑)。2人とも少し、はしゃいで撮影していたかもしれません」