ホアキン・フェニックスの眼差しに胸掴まれる『カモン カモン』、しんちゃんは野原家の子どもじゃなかった!?『映画クレヨンしんちゃん』など週末観るならこの3本!

コラム

ホアキン・フェニックスの眼差しに胸掴まれる『カモン カモン』、しんちゃんは野原家の子どもじゃなかった!?『映画クレヨンしんちゃん』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、ホアキン・フェニックス主演で伯父と甥の絆を描くドラマ、野原しんのすけの出生の秘密に迫る(!?)人気シリーズ最新作、イングマール・ベルイマンの聖地を舞台に男女のひと夏を描く物語の、心を動かす3本!

ホアキン・フェニックスの魅力に胸掴まれっぱなし…『カモン カモン』(公開中)

ホアキン・フェニックスの優しいまなざしに心掴まれる…『カモン カモン』は公開中
ホアキン・フェニックスの優しいまなざしに心掴まれる…『カモン カモン』は公開中[c] 2021 Be Funny When You Can LLC. All Rights Reserved.

木漏れ日が射し、穏やかな風が吹き抜ける。このたまらない心地よさは一体なんだろう。『20センチュリー・ウーマン』(16)のマイク・ミルズ監督が手掛ける本作は、ラジオ番組のインタビュアーとして全米の子どもたちの”声”を録音して回る中年男と、9歳の甥の物語だ。モノクローム映像がニューヨークをはじめ各都市の表情を陰影深く浮かび上がらせ、曇りなき眼をした子どもたちの示唆に富む言葉が有機的に重なっていく。それだけでも胸いっぱいなのに、その上、さらに魅力的なのがホアキン・フェニックス。やさしい眼差しと、甥との交流を通じて誠実さを学んでいく姿が本当に温かい。かつてジョーカー役でありったけの闇を吐きだした彼だからこそ、きっと今回、これほどの真逆の輝きを帯びることができたのだろう。本作を観ると視界が広がる。呼吸しやすくなる。カモン、カモン。いつしかタイトルが響く時、思わず涙がこぼれた。それはまるで未来を見つめる魔法の言葉だ。(映画ライター・牛津厚信)

嵐を呼ぶスーパー5歳児もやっぱり5歳の男の子とハッとする…『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』(公開中)

【写真を見る】屁祖隠ちよめ(声:川栄李奈)と、珍蔵(声:高垣彩陽)とも交流にも注目(『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』)
【写真を見る】屁祖隠ちよめ(声:川栄李奈)と、珍蔵(声:高垣彩陽)とも交流にも注目(『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』)[c]臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2022

しんのすけは野原家の子どもじゃない!?劇場版30弾で、ついに野原しんのすけ出生の秘密が描かれる。しんのすけが忍者の末裔!?の告白に衝撃が走るなか、安定の順応性で忍者の里にもすぐになじみ、 “分シリの術”“自撮りの術”など次々と忍術を披露。おバカパワーも炸裂のニンジャしんのすけの姿に「本当に忍者の末裔かも」と納得しそうになる…ほど。衝撃テーマを扱いつつ、シリーズおなじみの家族愛、仲間同士の友情、深い絆もしっかり描かれる。いつものおバカに思いっきり笑うと同時に、しんのすけの優しさや人を思いやる心にキュンとしたり、嵐を呼ぶスーパー5歳児も、やっぱり5歳の男の子とハッとするシーンもあり。しんのすけの新たな一面も発見できる 30弾にふさわしい一本!(ライター・タナカシノブ)

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…『ベルイマン島にて』(公開中)

20世紀最大の巨匠と称されるイングマール・ベルイマンの聖地を舞台にした『ベルイマン島にて』
20世紀最大の巨匠と称されるイングマール・ベルイマンの聖地を舞台にした『ベルイマン島にて』[c]2020 CG Cinema - Neue Bioskop Film - Scope Pictures - Plattform Produktion - Arte France Cinema

『あの夏の子供たち』(09)、『未来よ こんにちは』(16)などの1981年生まれ、ミア・ハンセン=ラブの持ち味はズバリ、ただならぬ瑞々しさ!倦怠期を迎えつつある年の差カップルを主人公に据えながら、またも瑞々しい感性をスクリーンに焼き付けた。スウェーデンの大巨匠、イングマール・ベルイマンが数々の傑作を生みだし、愛した神秘的な島に、インスピレーションを得ようと映画監督カップルがやって来る。トニーは既に有名で実績があるが、年下のクリスは認められ始めたばかり。その地でクリスは、いまでも忘れられない初恋の思い出を、脚本に書き始める――。 トニーとクリスのいま現在の出来事に、クリスの脚本――主人公エイミーの初恋物語が劇中劇として入り込む。さらにハンセン=ラブ自身の恋愛経験がトニーとクリスに反映されているという、現実と創作、虚構がどんどん交錯していく三重構造が、刺激的で心をくすぐる。島の美しさ、芸術家に開放された宿泊施設、ベルイマン関係の聖地巡礼ツアー、巨匠を崇めるだけでなく彼らがざっくばらんに語る“ベルイマン評”など、クスリと笑わせる要素もたまらない。いまの視点をサラリと入れたパートナー関係の在り方やキャリア、人生観などを感じながら、多くの人が“初恋のほろ苦さ”に覚えあり、と仄かに心が疼くはずだ。個人的に大好きなエイミー役ミア・ワシコウスカはじめ、役者陣もステキ!(映画ライター・折田千鶴子) 映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて! 構成/サンクレイオ翼

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