「着地点がすごい」「阿部サダヲが完璧」…映画ファンを虜にした『死刑にいたる病』衝撃の結末や俳優の怪演とは
阿部サダヲの闇を感じさせる“目”が怖すぎる…
「ひたすらに恐怖」(30代・女性)、「人間の内面の恐ろしさが衝撃だった」(30代・女性)、「人間が持つ怖いところが露呈していた」(30代・女性)など人間の内面に秘めた恐ろしさについての意見も多いが、その怖さを引きだしているのが俳優たちの怪演だ。
特に阿部サダヲは、最重要人物であるシリアルキラー、榛村の人物像を完璧に体現。誰からも好かれる愛想のよいパン屋の店主として社会に溶け込み、ターゲットと信頼関係を築き、そして最後には打って変わって少年少女をいたぶる残酷な一面を見せる。そんなサイコパスなキャラクターを、闇を感じさせる表情や丁寧だが不気味な口調で巧みに表現している。
「理解の余地がないほど阿部サダヲが完璧。凶器より愛嬌が勝るのもまた怖い…」(30代・女性)
「怖すぎて観れなかった。優しい時とのギャップにゾッとした」(30代・女性)
「雅也との面会シーンでは、榛村に引き込まれそうな感覚だった…」(20代・女性)
恐ろしくもどこか魅力を覚えさせる圧巻の演技で、登場人物だけでなく、観客をも翻弄してみせた阿部。なかでも“目”の演技に、戦慄を覚えたという感想がずらりと並んでいた。
「目が怖かった。一瞬目を背けました」(50代・女性)
「パン屋の時と犯罪をする時の目がはっきり違う」(30代・女性)
「黒目が大きく、まばたきをほとんどしないので恐怖感がすごかった」(30代・男性)
「目だけであんなに演技できることに驚き」(20代・男性)
青年が抱える危うさを体現した岡田健史の“表情”に注目
一方、そんな榛村と渡り合うのが岡田演じる雅也。父親から暴力を振るわれていたころに優しくしてくれた榛村を慕っていた過去を持つ雅也は、現在は三流大学で友だちもいない寂しい学生生活を送る青年だ。
暗い人生を送る青年がシリアルキラーに惹かれ、徐々に狂気の領域に足を踏み入れていく…鬱屈した青年像や闇落ちしそうな危うさを、岡田は繊細な演技でスクリーンに浮かび上がらせている。
「顔の表情がよかった」(40代・男性)
「言葉につかえる様子や他人と目を合わせないのがリアルですごい」(30代・女性)
「だんだん表情が野心に満ちていくというか荒々しくなっていくのが印象的」(30代・女性)
特に「ラストの顔が印象に残った」(30代・男性)と最後の表情についての声が多く届いており、ラストに彼を待ち受けるものとはいったい…。また同じく支持を集めていたのが、ある雨の日のシーン。こちらも物語の核心に触れてしまうため詳しくは言えないが、実は撮影中のケガによって急遽演出が変更されたひと幕。トラブルを乗り越えた岡田の熱演は、多くの観客の心に刺さったようだ。
そんな2人が相まみえる面会の場面は、「阿部サダヲさんと岡田健史さんの対峙するシーンはどれも圧巻でした」(男性)との言葉どおり、最大の見せ場。カメラが自由に榛村側と雅也側を行き来できるようセットに工夫が凝らされた白石監督もこだわりのひと幕で、そこで繰り広げられる演技合戦は緊迫感が段違いだ。
脇を固める俳優たちのミステリアスな存在感
「思わせぶりなところがたくさんあって主要キャラクターは全員よかった!」(30代・女性)
「みんな、ひと癖ありそう」(60代・女性)
これらの感想にあるように、2人の主人公を取り巻く人物も、誰も彼も思わず目を奪われてしまうキャラクターばかり。例えば、岩田剛典が演じた金山は、長髪で顔の半分を覆った怪しげで、陰気なオーラをまとった男。真犯人候補として捜査線上に浮かび上がってくる。
岩田は、モゾモゾとした口調や俯きがちな眼差しまで、佇まいから役に入り込んでおり、イメージを180度覆すような姿には「岩田くん、まったくの別人かと思いました」(20代・女性)、「岩田さんが意外なキャラクターだったので驚いた」(30代・男性)と面食らった人も多かったようだ。
さらに「自分ではなにも決められずに、息子に決めてという母親に違和感を覚えた」(50代・女性)、「闇を抱えている感じがした」(40代・女性)などの言葉が並ぶ雅也の母親、衿子役の中山美穂らの演技も圧巻。脇を固める役者たちもミステリアスな作品の世界観を見事に表現してみせている。
緻密に伏線が張り巡らされた巧みなストーリー、最後に待ち受ける大どんでん返し、どこか信用ならない裏を感じさせるような役者たちの演技。すべてが高い次元でかみ合うことで、独特の世界が作り上げられている。
「いい意味で大変疲れました」(20代・女性)
「とてもおもしろかったです。2時間頭使って観ていたのですが、いい疲労感でした」(30代・男性)
「ラストシーンが終わったあと、体の力がハッと抜けたような感じがありました」(20代・女性)
など、あまりの予想外の展開に心地よさすら覚えてしまう『死刑にいたる病』。この物語はどのような着地を迎えるのか?ぜひ劇場でその衝撃的なラストに打ちのめされてほしい。
構成・文/サンクレイオ翼