Awesome City ClubのPORINが魅せられた『バブル』の世界観…「崩壊と再生が繰り返される映像表現が新鮮」
「『バブル』の『にんぎょ姫』は日本の情緒が加わっていて、刹那的に感じた」
本作の物語は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話「にんぎょ姫」がモチーフとなっている。「(「にんぎょ姫」は)『リトル・マーメイド』のように、ファンタジーでドリーミーなイメージを持っていたのですが、『バブル』では日本の情緒が加わっていて、刹那的に感じました」と名作に新たな視点が加わっていることを指摘する。
ウタはある理由からヒビキに触れることができず、たびたびせつない表情を浮かべる。それでも、彼の力になりたいというピュアな気持ちにも言及し、「自己犠牲をいとわない人って、めちゃくちゃ少ないからこそ、ウタの感情は稀なものだと感じました」と共感している。
「同じメロディなのにシーンごとに異なるコードで表現されている」
ヒビキとウタにしか聞こえない“音”は、作曲家の澤野によって劇伴の一部としても引用されている。様々なパターンにアレンジされ、シーンごとに違った表情を見せては、物語を盛り上げる。ミュージシャンであるPORINもこれらの音楽には目を見張るものがあったようだ。「同じメロディなのにシーンごとに異なるコードで表現されていて、印象づけの方法にハッとしました。こういう表現方法があるんだなと勉強になりました」。
また、澤野による音楽は、「作品に寄り添っている」という印象を持ったそう。「泡がたくさんあふれているシーンには宇宙のような雰囲気があり、すごくダイナミックでカッコよかったです。だけど、音楽はスッと自然に入ってくる感じがしました。“音楽がかかっています!”と主張するのではなく、すごくナチュラルに盛り上げていると感じました」。
オープニングテーマはEveの「Bubble feat.Uta」、ウタを演じるりりあ。がエンディングテーマの「じゃあね、またね。」を担当している。まっさらな状態で作品を楽しみたかったため、楽曲情報も事前に調べずに作品を鑑賞したというPORIN。「(「Bubble feat.Uta」は)Eveさんらしさを感じる楽曲で、疾走感にあふれ、これから始まる物語にワクワクさせられました。りりあ。さんは、ウタの声も担当していたこともあり、ウタの心情を綴ったような、映画全体を集約したエンディングになっていると感じました」。
2013年東京にて結成した男女ツインボーカルの3人組 Awesome City Club のメンバー。2018年には自らディレクターを務めるアパレルブランドyardenを立ち上げる。2021年には「勿忘」で大ヒットを記録し、第72回紅白歌合戦へ初出場、また第63回日本レコード大賞では優秀作品賞を受賞するなど話題に。今年3月にアルバム「Get Set」をリリースし、2年ぶりとなる全国ツアーを開催。夏には「SUMMER SONIC 2022」をはじめ多くの夏フェスへの出演が決定。また、現在、TBS系トークバラエティ「ドーナツトーク」にレギュラー出演中。音楽活動のみにとどまらず、幅広い分野で活躍している。