Awesome City ClubのPORINが魅せられた『バブル』の世界観…「崩壊と再生が繰り返される映像表現が新鮮」
「自分のエゴを通すよりも、楽曲が一番よくなるボーカルを意識しています」
崩壊した東京ではライフラインが断たれ、人々はほかの土地へ離れていってしまったが、そこに身寄りのない少年たちが住み着いている。彼らは市街地の障害物を乗り越えながら行う競技、パルクールをプレイし、それぞれがチームを結成して、“バトルクール”という対抗戦で生活物資を賭けて競い合っている。ヒビキは渋谷を拠点にする「ブルーブレイズ(通称BB)」のエースで、ほかにも秋葉原の「電気ニンジャ」や練馬の「関東マッドロブスター」、高性能ブーツやマスクを装備した「アンダーテイカー」といったチームが登場する。
このバトルクールは現実のスポーツさながら、メンバー同士の連携が不可欠なのだが、当初のヒビキは高い身体能力を持ちながら協調性が皆無。しかし、そんなヒビキが仲間の大切さを実感し、ソリの合わなかったリーダーのカイ(声:梶)やBBの新メンバーとなったウタらと協力し、強敵に勝利を収める流れは物語に大きなカタルシスをもたらしている。Awesome City Clubのメンバーとして、またソロとしても様々なアーティストとのコラボを多数手掛けているPORINに、チームプレーで大事にしていることも聞いてみた。
まず、バンド活動で重きを置いていることには、「メンバー3人の顔が見える楽曲作り」という回答が。「時代的には古い、と言われるかもしれませんが、ギターソロを入れたり、男女それぞれが歌うパートを入れたり、ハモリがそれぞれ“おいしい部分”を入れる。これは一番気を使っている部分です」。
ほかのアーティストとのコラボの際には、「自分よりも楽曲を活かすボーカル」を心掛けているという。「私は自由度の高いボーカルだと思っています。求められることは基本的にはやりたいというスタンスです。自分のエゴを通すよりも、楽曲が一番よくなるボーカルを意識して取り組んでいます」とバンドとコラボでの表現の違いを明かしてくれた。
「『SPY×FAMILY』で感じた立体的なカメラワークが『バブル』にもあった」
全編を通して展開される大迫力の“パルクール・アクション”や映像美は大きなスクリーンで観てこそ。PORINにとっても映画館での鑑賞は、「スマホを見ることもなく、物語の世界観に没入できる特別な時間」だという。今回のインタビューにあたってはオンラインでの視聴になったのだが、『バブル』をスクリーンで観るなら以下の点に注目してほしいとのこと。
「(劇中で)画面いっぱいに花が咲き誇ったり、光が幻想的になびいたりしてとてもきれいだと感じました。泡の描き方もファンタジックになりすぎず、ヒビキやウタの体のしなりかたの美しさは、実写映画を観ているような感覚でとても感動しました」。
さらに、現在追いかけているアニメーション作品として、偶然にも本作と同じWIT STUDIOが手掛ける「SPY×FAMILY」をピックアップ。両者の共通点にも触れながら、「『SPY×FAMILY』で特に感じたのは立体的なカメラワークです。そのようなこちらへ迫ってくる感覚が『バブル』にもあったので、映画館の大きなスクリーンで観てもらったらどうなるのか、想像するだけでワクワクします。ウタの透明感のある歌声も、映画館ならより美しく響くと思います。映像と音を思いっきり浴びてほしいです」。
構成・文/タナカシノブ
2013年東京にて結成した男女ツインボーカルの3人組 Awesome City Club のメンバー。2018年には自らディレクターを務めるアパレルブランドyardenを立ち上げる。2021年には「勿忘」で大ヒットを記録し、第72回紅白歌合戦へ初出場、また第63回日本レコード大賞では優秀作品賞を受賞するなど話題に。今年3月にアルバム「Get Set」をリリースし、2年ぶりとなる全国ツアーを開催。夏には「SUMMER SONIC 2022」をはじめ多くの夏フェスへの出演が決定。また、現在、TBS系トークバラエティ「ドーナツトーク」にレギュラー出演中。音楽活動のみにとどまらず、幅広い分野で活躍している。