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岡田准一が『追憶』で俳優兼カメラマンを担当!

インタビュー

岡田准一が『追憶』で俳優兼カメラマンを担当!

『あなたへ』(12)の降旗康男監督で、岡田准一が主演を務めたヒューマンミステリー映画『追憶』(5月6日公開)。カメラを回したのは、『劒岳 点の記』(09)などの監督でもあり、高倉健主演映画『駅 STATION』(81)や『鉄道員(ぽっぽや)』(99)など、数多くの作品で降旗監督と組んできた木村大作だ。岡田と降旗監督にインタビューし、撮影秘話を語ってもらった。

ある事件をきっかけに他人として生きていた幼なじみの3人が、25年後に刑事、容疑者、被害者という形で再会する。刑事の四方篤を岡田が、容疑者の田所啓太を小栗旬が、被害者の川端悟を柄本佑が演じた。

岡田は本作で主演を務めることに気負いを感じてしまったと言う。「スタッフさんからは『高倉健さんを撮っていた人ですから』とよく言われました」。

降旗監督は岡田に「抱えているものを惜しみなく出してください」と指示を出したそうだ。岡田は「ここはこうしてください、ああしてくださいとはおっしゃらない監督なんです。大作さんは現場でパワフルに指示されますが、監督は静かに演出される方で、信じて見守っていただいたという感じがします」と振り返る。

現場はフィルムで撮っていた時代と同様に通常1シーン1カットで撮影されていった。岡田は「かなりの集中力が必要でした」と述懐。木村は現場に複数のカメラを持ち込んでいたと言うが、降旗監督によると「カメラの台数が多いから覗く人が足りなくて。岡田くんがカメラマンになって撮影したこともあるんです」とのこと。

これを受けた岡田は「監督の余裕というか、大作さんの心の深さというか、今後の僕のことも考えてくださって、撮影を経験させてくれたんです」と感謝する。「撮る側を経験することで役者は変わるとおっしゃられて。フィルムのカラカラ回る音を、身体で覚えなさいと促してくださって。心の余裕がないとできないですよね。しかもヒキの画ではなくて、250mmのレンズでパンしろと指導されました(苦笑)。実際、そのカットが本編で使われて嬉しかったですね」。

降旗監督は「映画というものは四角い世界なんです。関わるみんながそれを知っていないとお客さんには伝わらない」と持論を述べる。「だからちゃんと撮影者として岡田くんの名前がクレジットにも入っています」。

岡田も恐縮しながらうなずく。「大作さんが『カメラを覗くと役者さんの体調がわかる』とおっしゃっていましたけど、何となくそのことがわかる感じがしました。また、こんなに画から感情が出てくるんだということも実感できたので、役者として良い経験をさせていただきました」。

降旗監督も若い頃、岡田と同じような経験をベテランカメラマンにさせてもらったそうだ。

「映画界へ入って1年目の頃、木村大作みたいな宮島義勇というカメラマンがいまして。その人が助監督の僕に覗かせてくれたんです。今みたいにモニターがいっぱいあるような撮影の仕方ではなく、監督と撮影監督が1つしかないフレームを取り合う感じでした。でもその時、僕に覗かせてくれてテストをやらせてくれたんです。そのことが、当時もう辞めようと思っていた僕を撮影所に留まらせてくれました。その時、この四角いフレームの中に入らなきゃ映画にならないと思ったのと同時に、映っているものだけじゃないものを、観ている人に感じとってもらえるような四角でないといけないとも感じまして。岡田さんにも同じ経験をしてもらいたいと思いました」。

岡田は「降旗監督と大作さんの現場にいられたこと自体がとても幸せでした」と言葉をかみしめる。

「活動屋と言われた時代の心のあり方、映画に夢をもって生業として生きてこられた方々は、本当に人としても素敵なんです。実際、監督と大作さんを見ているだけでも楽しくて。僕たちは悩みながら現場にいましたし、芝居は難しかったけど、できあがった映画は、大人の方にも楽しんでいただける映画に仕上がっていると思いました。とにかく映画の魅力や人の魅力などいろんな魅力を感じられました」。【取材・文/山崎伸子】

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