「ウルトラマンのように生きたい」米津玄師が明かす、庵野秀明の"作品至上主義"への共鳴
企画&脚本を庵野秀明、監督を樋口真嗣が務める映画『シン・ウルトラマン』(公開中)。主題歌は米津玄師が担当し、唯一無二の世界観を表現し続けている3人のクリエイターたちが集った。いまや日本の音楽業界をけん引する存在となった米津が、「ずっと作品をつくり続けている巨大な存在」と評した庵野と樋口監督と共に本作に携われた喜びや、『シン・ウルトラマン』からもらった力。そして庵野の“作品至上主義”への共鳴を明かした。
「何十年と時を経てウルトラマンと再会をした」
自身も「ウルトラマン」シリーズのファンであることを公言している庵野が、「ウルトラマン」の企画、発想の原点に立ち返りながら、現代日本を舞台にいまだ見たことのない“ウルトラマン”が初めて降着した世界を描く本作。「庵野さんの映画やアニメは、繰り返し観ていました。『シン・ゴジラ』は劇場に何度も足を運ぶくらい衝撃を受けて。『シン・ウルトラマン』の制作が発表された時も、いちファンとして『どうなるんだろう?』と楽しみにしていました」という米津は、「そんなところに突然、主題歌というお話をいただき…『なにかの間違いでは?』とびっくりしました」と笑顔を見せる。
自身にとっての「ウルトラマン」の原体験は、「幼少期には『ウルトラマン』が大好きだったらしいんです。ソフトビニール人形で遊んだり、ウルトラマンの名前を全部そらで言えるほどだったようで、周囲の人たちからは『お前、ウルトラマン好きだったよね』と言われるんですが、俺自身はその事実をまったく覚えていなくて」と正直に吐露した米津。
「ただ“覚えていないけれども、その体験がなくなる訳ではない”ということが、とても重要なことなんじゃないかという気がしたんです。子どものころに観たり、聴いたり、楽しんでいたものって、なにもかも全部を覚えているわけではないですよね。でもその体験自体がなくなるわけではなくて、それが根っこになって、さらにいろいろな体験が乗っかることで人間性が確立されていく。俺もそうやって生きてきて、何十年と時を経てウルトラマンと再会をした。そういった想いを自分なりに音楽にしていこうと思いました」と語る。
本作のウルトラマンのデザインは、「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などで、実質的な美術総監督としていまに続く「ウルトラマン」シリーズの世界観構築に大きな功績を残した画家であり彫刻家の成田亨が、1983年に描いた絵画「真実と正義と美の化身」をコンセプトとしている。楽曲制作では、米津も「成田さんの画を眺めながら作っていくことから始めた」そうで、見れば見るほど「偉大な表現だ」と感じたという。
「ウルトラマンは、正義のヒーローとして普遍的な存在になっていますが、よくよく見ていると超然としているというか、親しみやすいとはとても言えない見た目をしている。それなのに子どもたちは、ウルトラマンを“憧れのヒーロー”として受け取って、現代にも広がり続けている。そこにものすごく興味が湧きました」と口火を切り、「成田さんは芸術家としての自負がとても強く、『自分にとって美しいものを作りたい』という想いのある方だったと思うんです。成田さんのマインドや志が、ウルトラマンをそういった存在にしているのかなと。子どもに変におもねるのではなく、見たことのないもの、人知では理解できないようなものとして大きくそこに屹立している。そんなウルトラマンを見ていると、『偉大な表現って、本当にすごいな』と感じます」と成田の表現者としての気骨に感服する。
【収録曲】
1. M八七 (映画「シン・ウルトラマン」主題歌)
2. POP SONG (PlayStation CM曲)
3. ETA
【販売形態】
・「ウルトラ盤」(CD + レーザーカプセル + リフレクターケース) 2,200円(税込)
・「映像盤」(CD + DVD + シルバーデジパック) 1,980円(税込)
・「通常盤」(CD + 紙ジャケ) 1,210円(税込)
※詳細は特設サイトをご確認ください。