「ムロツヨシが最高に狂っている」「ずっと展開が読めない」映画ファンが体感した『神は見返りを求める』の身につまされるようなリアルさとは?
人間の闇を体現したムロツヨシ&岸井ゆきのの演技合戦に目を奪われる!
お情けから始まり、なんとなく仲良くなり、そして憎しみ合っていく。そんな浅い関係性を体現しているのが、ムロと岸井の“怪演”ともいえる一級品の演技だ。
田母神は、合コンで酔い潰れていたゆりちゃんを介抱し、さらに動画の相談を受けると、撮影から編集まで無償で手伝ってしまう優しすぎるおじさん。演じたムロは温和な表情とゆったりとしたしゃべり方、ゆりちゃんから「本当にいい人ですね。神です」と言われて浮かべる満更でもない微笑みなど、どこか心配になるような余白を残しながら、人物像を表現している。
「見返り欲しさにやっているワケじゃないから…」と紳士に振る舞う田母神だったが、「性格がいきなり変わったシーン。ずっと優しい人だったのにどんどんと心が汚れていくような感じを感じた」(20代・女性)とある通り、ゆりちゃんから距離を置かれたことでキャラが激変してブチギレ。与えた善意に対する見返りにこだわり、いっきに狂気的な一面をのぞかせていく。
「ムロさんの一瞬でキレるシーンがものすごく怖い」(30代・男性)
「豹変していくさまがとても印象的でした」(10代・女性)
「ムロツヨシが最高に狂っている」(20代・女性)
死んだような眼差しを見せたかと思えば、攻撃的な口調や態度、おかしなことを真顔で言い放つ際の底知れぬ闇を感じさせる表情など、緩急のある戦慄の演技には恐怖を覚える人が続出。だが「あまりの純粋さと哀れさに狂おしいまでの愛しさすら感じてしまった」(20代・男性)と、その転落ぶりに思わず愛しさを覚えた人もいたようだ。
一方、ゆりちゃんを演じている岸井は、底辺Youtuberとしてカメラの前で一生懸命振る舞っていた素朴さから一変、売れっ子になり調子に乗っていく変化を痛々しくもリアルに演じ分けており、「どんどん見た目も中身も変わっていってすごかった」(20代・男性)などの声が多く寄せられた。
特に彼女の真価が発揮されているのが、田母神と対峙するシーン。以前は笑顔を向けていた田母神に対する冷たい眼差しや言葉の端々に出るトゲなど、心変わりをわかりやすくもリアルに表現しており、ゆりちゃんがどんな人間なのかを端的に表現している。
「ムロさんと言い合っている時の表現力がいい」(40代・女性)
「母神さんに態度を変え始めたシーン。ずっと陰で支えていてくれたのに、田母神さんよりも力がある人が現れた途端に切り捨てるところが現実的だった」(20代・女性)
「『こんなことしないでもっと自分を磨いたほうがいいですよ』と言い合うシーン。まったくもって正論ながら果たして自分自身が磨いていたのかという、彼女の空虚な本質を映しだしている」(20代・男性)
これらの感想が示しているように、2人の徐々に熱を帯びていく演技合戦は、本作の見逃せない大きなポイントだ。