様々な問題を提起する『ベイビー・ブローカー』、顔ぶれもゴージャス!『ザ・ロストシティ』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、是枝裕和監督が韓国のスターたちを迎えて”赤ちゃんポスト”について描くドラマ、超豪華キャストが共演し、ある島に隠された”謎”に迫っていくアクション、吉田恵輔監督がムロツヨシと岸井ゆきのの共演で贈るドラマの、人の変化を映しだす3本。
生みの親と育ての親、子どもはどちらといるほうが幸せか…『ベイビー・ブローカー』(公開中)
生みの親と育ての親、子どもはどちらといるほうが幸せか。育てられないなら産まないほうがいいのか。様々な問題を提起する『ベイビー・ブローカー』。カンヌ国際映画祭では主演のソン・ガンホが韓国人初の最優秀男優賞に輝いた。借金苦のサンヒョンは児童養護施設出身のドンスと「赤ちゃんポスト」の赤ん坊を高額で売っていた。そこに赤ん坊を捨てた母親が現れ、一緒に養父母を探す旅に出る。さらに刑事たちがあとを追う。ガンホのほか、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナといった映画スター、本作でイ・ジウンとして商業映画デビューした歌手のIU、「梨泰院クラス」のイ・ジュヨンとリュ・ギョンス、「愛の不時着」のキム・ソニョンと隅々まで豪華なキャストが是枝監督のもとに集結。家族を失った人々が本物の家族より家族らしく結びついていく様は『万引き家族』(18)を思わせるが、そこに追走劇やラブストーリーが加わり、韓国映画らしいエンタテインメントに仕上がっている。(映画ライター・高山亜紀)
息の合った競演に引き寄せられる…『ザ・ロストシティ』(公開中)
ロマンチックな冒険小説の作者として人気者となった引っ込み思案の女性小説家が、自著の表紙モデルを務めているイケメンだがオツムの弱い男性と共に、野生での大冒険を繰り広げる!そんなユニークな設定に基づくアドベンチャーコメディ。大自然の中に放りだされるヒロインにコメディならお任せのサンドラ・ブロック、彼女と冒険をともにするモデルに『マジック・マイク』(13)のセクシーガイ、チャニング・テイタムという、ハリウッドの人気アクターが共演。ドタバタも下ネタも軽やかにこなす、息の合った競演に引き寄せられる。ダニエル・ラドクリフやブラッド・ピットなど、脇を固める俳優陣の顔ぶれもゴージャスで、危機また危機の展開ともども目が離せない!(映画ライター・有馬楽)
ギャップに騙されるのがこの映画の楽しみ方…『神は見返りを求める』(公開中)
“見返りを求める男”と“恩を仇で返す女”の物語。ムロツヨシ演じる中年男の田母神は、数合わせで参加した合コンで岸井ゆきの演じる不人気ユーチューバーのゆりちゃんと出会い、映像の制作を手伝うようになる。ひょんなことがきっかけでゆりちゃんがプチブレイクすると、2人の間に流れていた穏やかで優しい空気は一変、YouTube上で醜い罵り合いを繰り広げるように…。見どころは”ギャップ”。恋愛関係に発展するかと思いきや憎しみ罵り合う関係に。底辺YouTuberがひょんなことから人気者に。神のように優しい男が、嫉妬心丸出しの狂気の男に。ポップなポスタービジュアルからは想像できない物語のテイストとのギャップに騙される、それもこの映画の楽しみ方かも!
(ライター・タナカシノブ)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼
※吉田恵輔監督の「吉」は「土」に「口」が正式表記