デボラ・チョウ監督が語る、「オビ=ワン・ケノービ」制作の裏側「ユアン・マクレガーはオビ=ワンそのもの!」
オビ=ワンとダース・ベイダーの歴史に焦点が当てられる
ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長からの信頼も厚いチョウ監督。「オビ=ワン・ケノービ」を手掛ける際に入ったリクエストについて聞くと「私が本作に関わるようになった時には、ある程度のところまで製作準備が進んでいたので、そこを基盤に作品のビジョンを話し合いました。それで、本作はキャラクターにフォーカスを当てた物語なので、キャラクターをどう表現するのかを詰めていきました」と、人間ドラマに重点を置くことを心がけたそうだ。
オビ=ワンといえば『スター・ウォーズ』(77)など旧三部作では名優アレック・ギネスが演じていたが、『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(99)以降はユアン・マクレガーがバトンを受け取り、若かりし頃のオビ=ワンを熱演してきた。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で、彼のパダワン(見習い)だったアナキン・スカイウォーカーがダークサイドに落ち、ダース・ベイダーとなってことは前説としても、劇中のフラッシュバックとしても、何度か描かれてきた。
チョウ監督は演出するにあたり「『エピソード3』以降の10年間、一体なにが起きていたのかを考えるところから始めました。その間、トラウマになるようなことが起こり、オビ=ワンはすごく多くのものを亡くしたわけで、彼はそのつらさや重みを背負っている。その歴史があった結果、いま彼がそこにいるということをユアンとかなり話し合いました」と丁寧にアプローチを重ねた。
オビ=ワンに対して激しい憎悪を抱いているダース・ベイダーだが、2人の愛憎劇は一筋縄ではいかない。「このドラマでは特にオビ=ワンとダース・ベイダーの歴史に焦点が当てられます。『エピソード3』で起きた悲劇は、2人の人生にものすごい影響を与えましたが、これはオビ=ワンの話なので、特に彼の心情をより深く描いていきます。そしてそこから『エピソード4』へつなげていきたいのです」。
「ユアン・マクレガーは、共にコラボレートするパートナーでした」
51歳となったマクレガーは17年ぶりに演じたオビ=ワン役で、その苦悩と哀愁を余すことなく体現しており、愛しさをも醸し出している。ユアンを演出していて特に感銘を受けたシーンについて聞くと「すべてです。すべてに驚きます」と興奮しながらマクレガーを称える。
「彼はただの主演俳優という立ち位置ではなく、今作においては共にコラボレートするパートナーでもありました。言ってみれば、彼こそがオビ=ワンです。前回演じてからずいぶん時間が経っていますが、彼はものすごく自然にオビ=ワンとして帰ってきました。彼は役について『スター・ウォーズ』の世界観についても誰よりも知り尽くしているので、どんなことを聞いても、たくさんの情報を持って応えてくれました。また、彼は非常に直感的な俳優で、しかもその直感はいつも正しいです。それなのに私たちとのコラボレーションも楽しんでくれるというとても有難い存在です」と賛辞を惜しまない。
加えて、マクレガーは、アナキン・スカイウォーカーことダース・ベイダー役のヘイデン・クリステンセンとプライベートでも仲が良いという関係性が、よりドラマに奥行きを与えたと言う。第5話で、若かりし頃の2人がライトセーバーを手に相まみえるという回想シーンが描かれ、かなり胸熱だった。
「彼らのリアル信頼関係を間近で見ることができたのは、本当にすてきな体験でした。長い間会ってなくて、今作を撮るにあたり、久しぶりに会ったというシチュエーションは、劇中で起こっていることともリンクしていた気がします。シーンで言うと、第5話でのフラッシュバックのシーンの撮影ではやはり特別な思い入れを感じましたし、みんなで感動していました。その撮影をひと目観ようと、多くの関係者が見学に詰めかけたくらいですから」。