デボラ・チョウ監督が語る、「オビ=ワン・ケノービ」制作の裏側「ユアン・マクレガーはオビ=ワンそのもの!」
「私たちが探していたのは、キャリー・フィッシャーと同じ精神を持っている子役」
また、本作で「スター・ウォーズ」ファンをうならせたのが、幼い10歳のレイア役を演じた子役ヴィヴィアン・ライラ・ブレアの圧倒的な存在感だ。鼻っ柱の強さと勇気あふれる行動力は、まさにキャリー・フィッシャー演じるレイアをタイムふろしきで若返らせたくらいの“レイアらしさ”を感じさせた。チョウ監督は「レイア役を演じられる子役を世界中で探しました。やはり若き日のキャリーを探すのは、そんなに容易なことではなかったです」とキャスティングの苦労を明かした。
「私たちが探していたのは、キャリー・フィッシャーと同じような性格というか精神を持っている子でした。なぜなら、レイア役を演じる子役に、キャリーの演技を真似てほしくなかったから。だからもともとそういう資質を持っている子役を長い間探していたんですが、なんと偶然にもロサンゼルスにいたんです。そしてヴィヴィアンに決定したあとは、彼女に自然な状態でいてもらうように努力しました。役について考えすぎないようにしてもらいたかった。レイア姫を演じるのではなく、自然に反応してもらうことを一番大事にしました」。
すなわち「ヴィヴィアンがまさにレイアそのものだった」と太鼓判を押すチョウ監督。「あんなに若い子に『メリル・ストリープのような演技派女優になれ』と言っても無理でしょう。だから役の要素を持っている子を選ぶことがなによりも重要で、監督としてやりやすいだけではなく、作品にとってもベストな選択だったと思いました」と聞いて大いに納得。
「スター・ウォーズ」愛を語らせたら枚挙にいとまがない監督だが、「スター・ウォーズ」シリーズへのオマージュが満載の本作ということで、特に監督が演出していてシビれたというシーンについて聞いた。
「私が一番好きなキャラクターはダース・ベイダーです。ビジュアル的にも非常にパワフルな存在で、多くを語らずとも見ているだけでインパクトがありますから。だから特に気に入っているのは、第3話でダース・ベイダーが歩いてくるシーン」とうれしそうに瞳を見開いたチョウ監督。
ついに全話配信となった「オビ=ワン・ケノービ」は、「スター・ウォーズ」ファンが長年想像してきた映画シリーズの「空白の期間」を描いている。将来、息子に「ベン」と名付けるに至るまで深まったオビ=ワンとレイアの絆、そして彼と元パダワンのダース・ベイダーの関係性の変化など、登場人物たちの新たな歩みにぜひ注目してほしい。
取材・文/山崎伸子